デイサービスで調理をする場合に知らないと損をすること

デイサービス 調理

この記事の結論と要約
デイサービスで調理したものを提供する場合、給食開始届を提出する必要があります。届出対象となる事業者は調理を提供した日から10日以内に該当書類を届出ましょう。新たにデイサービスを設立した事業所はオープン日から10日以内に提出をこころがけましょう。

利用者を一日預かると、食事の提供が少なくとも1回はありますよね。

デイサービスをこれから開業しようとしているあなたは、デイサービスで調理した料理を利用者に提供したいと思っていませんか。

キッチンで調理が出来るサービスを提供したいと考えている事業者もいるでしょう。また料理教室といったレクリエーションサービスとしても料理は魅力的です。

しかし利用者に料理を与える場合、ルールなしで好き勝手に提供できません。

そのルールとは何でしょうか。

それは給食開始届です。

提供するサービスによっては届出が必須になり届出がない場合、行政から処分を受ける可能性があります。

届出までの流れを確認しましょう。

この記事を読むことで自社が給食開始届の必要がある事業所であるかを知ることが出来ます

保健所に届出をする必要がある場合

まず給食の開始届が必要な事業所かどうかを判断しましょう。

給食開始届が必要な事業所は次の条件を満たす調理サービスを提供する事業所です。

◆給食開始届が必要な事業所

①1ヶ月以上、調理を提供した(する予定)

②週に1回以上、朝食、昼食または夕食を20食以上提供する予定

③週に1回以上、朝食、昼食、夕食の合計の提供数が50食以上になる予定

※①かつ②又は③の事業者が届出義務のある事業者。

1つずつ説明します。

①1ヶ月以上調理を提供した(する予定)

そのままですね。

調理サービスを継続的に提供する事業所は届出の義務があります。

②週に1回以上朝食、昼食もしくは夕食を20食以上提供する予定

朝食、昼食、夕食のうちどれか一つでも20食以上提供する日が週に1回あれば届出が必要です。

例1、朝食なし、昼食15食、夕食15食⇒いずれも20食以下届出の必要なし

例2、朝食なし、昼食30食、夕食なし⇒昼食が20食を超える届出の必要あり

昼食のみサービスを提供する事業所も利用定員数が20名以上であれば給食開始届出は必要だと考えてよいでしょう。

③週に1回以上、朝食、昼食、夕食の合計の提供数が50食以上になる予定

1日に朝食、昼食、夕食と食事の機会がありますが、全て提供した合計数が50食以上になる日が週に1回以上あるならば届出が必要です。

例1、朝食に3食、昼食に10食、夕食に10食⇒合計23食⇒届出の必要なし

例2、朝食に10食、昼食に30食、夕食に20食⇒合計60食⇒届出の必要あり

注意点としては同一人物でもそれぞれの食事で1食と計上することです。

朝から夜まで1日中利用するAさんに3食提供すれば、3食とカウントします。

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届出が必要ない事業所

いかがですか。

上記の条件に該当すれば給食の届出が必要です。

言い換えると、調理サービスを提供する場合でも給食開始届が必要じゃない事業所もあるということです。

給食開始届出が必要ない事業所の例は次の通りです。

・月に2回、料理教室を開くだけで食事サービスがない事業所・利用定員数が10名程度で昼食のみサービスを週に2~3回程提供する事業所   etc

例外規定として飲食店営業許可を取得している事業所は給食開始届をする必要はないです。

給食開始届が正式に受理されるためには最低限の基準が求められます。これから開業する方は建物、資格を現時点で満たせているか物件の契約前に必ず確認しましょう。

デイサービスで食事を提供する際の注意点

給食開始届が必要な事業所か判断する方法は以上です。

行政手続き上のお話しで多少堅苦しくなりましたが、ここからは私が実際にデイサービスで調理を提供している事業所様から聞いて関心した情報をまとめます。

管理栄養士の配置

デイサービスで調理サービスを提供する場合の人員基準は食品衛生責任者の設置のみです。

調理を作る人は誰でもいいわけです。

しかし利用者目線で見たらどうでしょうか

食事するのは高齢者です。健康面を厳格に管理しなくてはいけません。塩分やカロリーをどんぶり勘定したものでは命にかかわります。

また私が懇意にしているケアマネさんも、あそこのデイサービスには管理栄養士がいるが、あそこはいないということを非常に気にしています。

生活相談員と栄養士が意志疎通出来ているデイサービスは食事の安全面は担保出来ている認識のようです。

管理栄養士を配置することは利用者の食事面の安全に配慮しているデイサービスとして認識される可能性が高まります。

また管理栄養士を配置すれば『栄養改善加算』の算定要件を満たせます

食にこだわるデイサービスを目指すのであれば、管理栄養士の雇用は中長期的に計画してみても良いでしょう。

具材は細かく柔らかく

とにかく具材は柔らかく細かくが一番安全です。

食事するのは高齢者であることを念頭にしたメニューにしてください。ただし嚥下能力の低下を誘発してもいけません。

機能訓練指導員、栄養士と相談した献立で食事の魅力を高めるのも1つの考え方としてありでしょう。

調理スタッフ

小規模デイサービスの場合、介護職員が調理をすることも考えられます。

調理には準備や後片付けなど時間がかかります。介護の時間が減ってしまい、それが原因で介護職員の人員基準を満たしていないと判断されることもあり得ます。

調理に特化したスタッフを雇用して利用者の安全義務を確保して危険防止に努めましょう。

そのスタッフが栄養士であれば尚良いです。

アイコン-チェック・料理を提供するデイサービスは給食開始届が必要な場合がある
・利用定員数が20名以上で昼食を提供するのであれば必要な可能性が高い
・食事の安全性を考えると、栄養士と相談することが望ましい
・利用者の栄養状態をスタッフ間で共有できる仕組みを作る

まとめ

いかがでしたでしょうか。

給食開始届が必要な事業所であれば必ず開始の届出を提出しましょう。

届出が必要か不要かにかかわらず共通して言えることは、食事に対する安全性です。

高齢者に食事を提供するので味より安全面が大切です。(もちろん味も大事です)

利用者の中には医師の管理下の元で栄養指導を受けている人も多数いるので、栄養状態をスタッフ間で共有できる体制作りも重要です。

デイサービスの開業考えている人は『デイサービスで開業!開設する地域を決める時の4つの重要ポイント』も読むことをおススメします。