【介護で独立!】訪問介護事業者になるための指定基準
まとめと要約
この記事はYouTubeで配信している「【介護で独立!】訪問介護事業者になるための指定基準」の内容を文字起こししたものです。
介護で独立するためには都道府県等に指定申請という手続が必要です。介護事業の中の訪問介護事業者になるための指定基準につき解説しました。独立をお考えの方は是非ご一読ください。
Contents
はじめに
今回のテーマは「訪問介護事業者になるための指定基準」です。
要介護者宅に訪問介護サービスを提供して介護報酬を請求できる事業者になるためには、都道府県知事や政令指定都市、中核市の長から指定を受ける必要があります。
「指定」というのは簡単に言うと営業許可のようなものだと思ってください。
指定を受けるためには「指定基準」 をクリアーしなくてはなりません。
そこで今回は、訪問介護事業者の指定を受けるために必要な基準についてお話しします。
ご注意いただきたいこととして、指定する都道府県や政令指定都市の数だけ細かなローカルルールがあるということです。
基本的な指定基準は同じですが「細かな審査基準は若干異なる」という認識を持って見ていただければ幸いです。
ちなみに、介護報酬が請求できる介護タクシー事業者(通称:介護保険タクシー事業者)になるためには訪問介護事業者として指定を受けることが必要です。
ご開業予定の方は基準につきご確認ください。
訪問介護事業者の指定基準
訪問介護事業者として指定を受けるためには全部で3つの基準を満たす必要があります。
① 法人格があり適切な事業目的が記載されている
② 設備基準について
③ 人員基準について
それぞれ詳しく説明していきます。
① 法人格があり適切な事業目的が記載されていること
個人事業主は訪問介護事業者になることはできません。必ず法人であることが必要です。
これから指定を受ける人は、株式会社・合同会社・一般社団法人を選ばれる方が一般的かなぁと思います。
それに加え、事業目的に適切な文言が記載されていることも必要です。
事業目的とは、その会社の業務を対外的に示したもので履歴事項全部証明書(登記簿謄本)で確認が出来ます。
訪問介護事業者に限らず、介護保険上の事業者になるためにはこの事業目的は審査機関に厳しく確認される印象があります。
よって、必ずご確認ください。
訪問介護の指定を受けるために必要な事業目的は介護保険法に基づく居宅サービス事業です。
事業目的をこれから追加するのであれば、手数料は追加する数によって変わりませんので、他の事業目的も必要なら追加しましょう。
一応、私のホームページにおすすめの事業目的が載っています。これらが事業目的に書いてあれば大きな問題はないと経験則上言えます。こちらをご覧ください。
② 設備基準について
訪問介護事業者になるためには営業所が必要です。
営業所は相談室と事務室に分けられ、それぞれ基準が設けられています。
(1)設備基準/相談室について
相談室は、お客さんが営業所に来て相談をするスペースと想定されています。よって、相談室の要件として下記2点を満たしていることが重要です。
● 机と椅子がある
● プライバシーが確保されている
「プライバシーが確保されている」の判断基準は、相談室が四方から囲われていて外部からは見えない状態であることです。
もし営業所が2部屋以上あれば片方を相談室にすれば良いです。
では、営業所がワンルームの場合はどうすればいいでしょうか?
その場合は部屋を間仕切るパーテーションを設置することが必要です。
このパーテーションを利用する場合は、相談室と事務室を隙間なく分けなくてはいけません。
隙間が空いていると、四方に囲われてるとは言えず指定基準を満たさなくなるからです。
また、パーテーションの高さも約180cmくらい必要かと思います。一般的に、外部から見えないことが重要だからです。
(2)設備基準/事務室について
事務室について確認されることは大きく次の3つの有無です。
● 水道
● 鍵付き書庫
● 3つ以上の机と椅子
それぞれについて説明します。
● 3つ以上の机と椅子
これはのちほど詳しく説明しますが、訪問介護事業者の指定を受けるためには最低3名の介護の有資格者が必要です。
この方々が事務をできる設備の確認として、3つ以上の机と椅子の有無が確認されます。
● 鍵付き書庫
これは利用者さんのプライバシーを確保するためです。
念のため、透明ではない(引き戸ガラスではない)外部から見えないような鍵付き書庫を用意しましょう。
● 水道
これは手指を清潔に保つための設備基準です。蛇口をひねれば水が出てくるということが確認されます。
理由は衛生面的なものですが、指定する都道府県等によって厳しさが異なるので事前にご確認ください。
また、よくあるパターンでご自宅を営業所にすることがありますがこれも注意が必要です。
ご自宅を営業所にする場合、入口が2つ以上ないと認められない場合があります。
つまり会社専用の入口と住居専用の入口が別々にあることが求められることがある、ということです。
さらにそれぞれの入口から動線を引いたときに、居住用と事業用の互いのスペースが交わらないことが確認されます。ご注意ください。
③ 人員基準について
先ほど、訪問介護事業者として指定を受けるためには最低3人以上の介護の有資格者が必要だと言いました。
この3人の事を「訪問介護員等」と言います。
この訪問介護員等は常勤換算で2.5人以上いることが指定基準として挙げられます。
「2.5人ってなに?」って感じですよね。
ではまず訪問介護員等の内訳を確認してみましょう。
● 管理者
★ 訪問介護員A
★ サービス提供責任者
★ 訪問介護員B
このうち管理者を除く★の3つが該当し常勤換算で2.5人以上必要です。
では、常勤換算とは何でしょうか?
結論から言うと常勤換算とは1日の営業時間あたりの介護職員の労働時間は何人分相当にあたるという考え方です。
例を見てみましょう。
例)1日8時間営業する訪問介護事業者に、1日8時間働く介護職員が1人いればその営業日に介護職員が常勤換算で1人いることになります。
例)
1日8時間、営業する訪問介護事業者に
営業時間8時間あたりに介護職員の労働時間は8時間だから1人ということです。
同様に、1日8時間働く介護職員が2人いればその営業日に介護職員が常勤換算で2人になります。
営業時間8時間あたりに介護職員の労働時間は16時間だから2人ということになります。
ここまではイメージがつくかなと思います。
では1日8時間働く介護職員が1人いて、午前中4時間働く介護職員が1人、その人とは別に午後4時間働く介護職員が1人いたとします。
この場合、常勤換算で何人になるでしょうか?
答えは2人です。
営業時間(8時間)あたりに働く介護職員の労働時間は8時間 + 4時間 + 4時間=16時間 になるからです。
これを踏まえ、常勤換算2.5人を確認してみましょう。
一番イメージしやすいのが、1日8時間働く介護職員が2人いて、営業時間の半分である4時間だけ働く介護職員が1人いる営業日です。
8時間で1人 という関係なので4時間で0.5人になります。
よって、物理的に介護職員が最低でも3人必要ということになります。
まとめます。
「どの営業日を見ても常勤換算で訪問介護員は2.5人以上は働いている」ということ
月曜日は常勤換算2.5人いるけど火曜日は2.5人働ける体制でないということであれば、指定基準は満たせておらず指定を受けることは出来ません。
あくまでも営業時間に対して常勤換算をするということがポイントです。
常勤換算2.5人に対する考え方、おわかりいただけたでしょうか。
注意点としてはサービス提供責任者です。
よって、有資格者3名のうち、最低1人は常勤 かつ これらの上位資格者であることが必要です。
サービス提供責任者は訪問介護事業者指定後も常勤で1人以上必要ですので、基本的には、長期的に継続して働けるような方を選任しましょう。
最後にもう一度まとめます。
① 法人格があり適切な事業目的が記載されている
② 設備基準について
③ 人員基準について
おわりに
お疲れさまでした!
今回は訪問介護事業者になるための指定基準についてというテーマでお話ししました。
注意点としてさらに2点お伝えします。
追加の注意点①
申請書を提出する時点で全ての基準を満たしておく必要があるということです。
自治体にもよりますが申請書を提出してから指定が下りるまで1~2ヶ月はかかります。
どうしても営業所の家賃や人件費はその間かかるので、そこを考慮して事業計画を立ててください。
追加の注意点②
要支援者向けの訪問介護サービスは別途申請手続きが必要ということです。
この記事でお話ししたことは要介護者向けの訪問介護事業者になるためのお話です。
もし介護保険法の要支援者向けにもサービスを提供したい場合には、別途、市区町村長に対して指定申請をする必要があります。
これも事業目的を別途規定する必要があります。
必要な事業目的(要支援者向け)は
● 介護保険法に基づく第一号事業
または
● 介護保険法に基づく介護予防・日常生活支援総合事業
のいずれかです。指定基準はほぼ同じですが、事業目的と別途で指定申請が必要ということだけご注意ください。
ありがとうございました!