【社労士監修】助成金の最新情報はどのようにして取得するのか
このページをご覧になっている方はの厚生労働省の助成金の情報を積極的にご取得されたいと考えていらっしゃる方でしょう。
助成金には予算があり、支給要件や金額、審査方法は年度によって異なることがあります。
特に最近ではキャリアアップ助成金正社員化コースの難化、リスキリングの推奨など国の意向によって助成金の支給決定の可否や性質、種類が大きく影響を受けます。
そう考えると、常日頃から国はどんな意向を持っているのか、どんなことが問題視されているのか情報を把握しておくことで情報の感度、理解が高まりそうですよね。
もちろん新聞や専門家のメルマガ、労働基準監督署が発行するリーフレット等でも確認出来ますが、どうしても速報性に欠けます。
そこで!一般的にどうすれば、助成金の情報を常日頃から確認出来るのかにつきまとめてみました。
助成金の原資は予算
当然、助成金には予算が必要です。となるとどのように予算が決まるの知っておきたいですね。
まず予算が成立するまでの流れを簡単に確認しましょう。
各省庁の所轄事務を遂行するために、各省庁(助成金は厚生労働省)は1年間に必要な金額を算出してそれを財務省に提出します。これを概算要求と言い、提出時期は8月頃です。
その提出された金額や内容が妥当かどうか、案を認めるべきかどうかにつき財務省は精査し、結果を内閣に報告します。
財務省の報告をもとに内閣が予算案を調整し、財務大臣が閣議に提出し閣議決定する。これを12月までに終わらせます。
なぜ12月なのか。
それは閣議決定された予算案を1月に招集される通常国会にて提出する必要があるからです。
内閣の予算案として国会の議決を取り承認・成立というのが予算成立までの基本的な流れです。
予算案は衆議院予算委員会で話し合われ、衆議院本会議にて過半数によっる採決がおこなれます。同様に参議院でも行い、翌年度が始まる3月までに成立することが一般的です。
ちなみに衆議院と参議院で異なる結果が出た場合には衆議院の採決が優先されます。
以上が予算の基本的なことです。
この記事を書いている令和6年10月時点で、厚生労働省のHPには令和7年度の概算予算要求事項が確認出来ますね。
ここには厚生労働省が重点的に伝えたいことや、具体的な要求額が書かれているので国の意向が読み取れるというわけです。
その中に助成金についても言及されています。
92Pには業務改善助成金の記載がありますが、前年度と比べて要求予算額が増大しています。
現在、国は最低賃金を上げたいので、事業者側から見れば最低賃金を上げるムチの代わりに飴として助成金を上げるということです。個人的にはしばらく業務改善助成金は取得しやすいホットな助成金だと思っています。
以上踏まえ、国の中長期的な意向を確認するためには来年度の概算要求に関する書類を見ればいいと言えるでしょう。
助成金事務を管轄する審議会
予算はわかりました。
しかし予算を作成するにあたっては、今現在労働者の雇用状況に関する課題・問題を把握する必要がありますよね。
例えばキャリアアップ助成金の正社員化コースは低賃金の非正規労働者を解決することを目的とした助成金の1つです。
低賃金の非正規労働者がどれくらいいるのか、どうすればそういった問題を解決出来るのか、それは誰が調査して考えるのでしょうか。厚生労働省の職員でしょうか。
もちろんそうなんですが、大きく予算が絡むような重大な事を決定するにあたっては専門家の意見を聴かないと適切かどうか判断しかねますよね。
そこで法律では審議会という厚生労働大臣の諮問機関を定めることが決められています。
その法律が厚生労働省設置法です。
厚生労働省が具体的にどんな事務を担当するかが定めており、その所轄事務をそれぞれ担当する審議会も記載されています。
(所掌事務)
第四条厚生労働省は、前条第一項及び第二項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 社会保障制度に関する総合的かつ基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 少子高齢社会への総合的な対応に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。~~~~
百八 政令で定める文教研修施設において所掌事務に関する研修を行うこと。
百九 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき厚生労働省に属させられた事務
事務で109種類に分けられていることが確認出来ます
そして厚生労働省設置法第9条には次のような定めがあります。
(労働政策審議会)
第九条 労働政策審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 厚生労働大臣の諮問に応じて労働政策に関する重要事項を調査審議すること。
二 厚生労働大臣又は経済産業大臣の諮問に応じてじん肺に関する予防、健康管理その他に関する重要事項を調査審議すること。以下省略
2 前項に定めるもののほか、労働政策審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他労働政策審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
2項にある労働政策審議会について定めた政令とは労働政策審議会令です。
6条に次のような記載があります。
(分科会)
第六条 審議会に、次の表の上欄に掲げる分科会を置き、これらの分科会の所掌事務は、審議会の所掌事務のうち、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。雇用環境・均等分科会
一 厚生労働省設置法第四条第一項第七号、第四十一号及び第四十二号に掲げる事務(厚生労働省雇用環境・均等局の所掌に属するものに限る。)、同項第五十号(職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題に関することに係る部分に限る。)に掲げる事務並びに同項第六十七号から第七十三号までに掲げる事務に関する重要事項を調査審議すること
オレンジの事務に該当する各事務が記載された号を厚生労働省設置法第4条(所轄事務)から抜粋します。
七 労働関係の調整に関すること。
四十一 労働契約、賃金の支払、最低賃金、労働時間、休息、災害補償その他の労働条件に関すること。
四十二 労働能率の増進に関すること。
五十 労働者の保護及び福利厚生に関すること などなど
以上から労働政策審議会の中にある雇用環境・均等分科会が助成金の事務を司る諮問機関ということがわかります。
ここで審議会の委員が話ている内容が現在の問題点で、解決すべき事項として十分な予算を計上するための根拠、法律・施工規則等の改正の原案になる可能性が高いということです。
厚生労働大臣が諮問結果として、内閣に予算案、改正案として提出するための根拠資料になるからですね、
助成金の情報をなるべく早く取得するためには
以上のことから国の憩いや助成金の情報をなるべく早く取得するためには次の2つです。
①②ともに厚生労働省のHPで確認できます。
①の情報は概算要求なので未確定な情報ですが、次年度に向けた考え方を知り方向性を知ることが出来ます。
では確定した予算はいつ頃確認出来るのでしょうか。
それは通常国会が始まる1月から2月の間が目安です。
確定したかどうかも予算のページで確認出来ます。 赤文字で予算案通り成立しましたとあれば概算要求と同一だという考えです。
まとめ
助成金の情報をいち早く取得するための方法というテーマで執筆しました。
簡単にいうと雇用環境均等分科会のページが更新されたら通知されるような仕組みがあれば解決出来ます。
助成金が制定されるまでの経緯なども含めて知りたい方は毎回ご覧いただくことがよろしいのではないでしょうか。
お疲れ様でした。