【便利屋タクシーを始めたい!】開業に必要な手続とルール【救援事業】
介護タクシー事業者は便利屋事業も併せて担うことが可能です。しかし何の手続も必要なく出来るわけではありません。また介護タクシーとは別に課せられるルールもあります。便利屋タクシーにご関心のある方は是非ご一読ください。
はじめに
今回お話しするテーマは「便利屋タクシー開業の必須手続き 救助事業とは?」です。
お客さんの身の回りのちょっとしたお困り事を解決する『便利屋』という言葉を耳にしたことがある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
便利屋の主なサービスとしては、
● 買い物代行
● 薬の受け取り
● 小荷物の発送
などが一例として挙げられます。
実はこの便利屋事業ですが、介護タクシーの営業所や車両を使って始めることが出来ます。
そんなこと当たり前じゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。
というのも介護タクシーの営業許可というのは許可基準を満たした事業所は要介護者等を輸送して運賃を請求して良いよ、と国に認められた状態を指すからです。
どういうことかと言うと、便利屋事業には人の輸送を目的としていない買い物代行や小荷物の発送なども含まれますよね。
だとすれば、当然に介護タクシーの車両を使って便利屋のサービスを提供していいわけではない、とも言えます。
とはいえ、介護タクシー事業者が便利屋事業をすることで特段の不利益が生じる理由もないので、国としては適切な手続きを経て一定のルールの下で介護タクシー事業者が便利屋事業をすることを認めています。
そこでこの記事では、介護タクシー事業者が便利屋事業を始める場合に必要な手続きとその注意点につきお話しいたします。
救援事業とは
介護タクシー事業者が行う便利屋事業、これを行政側が使う正式名称で言うと救援事業と言います。
つまり便利屋事業を始めたければ、救援事業の開始手続きを行って救援事業をする際のルールを守るということが重要です。
開始手続とルール、それぞれについて説明します。
① 救援事業の開始手続について
開始するためには管轄の運輸支局に「救援事業等計画書」という事業計画書を提出することが必要です。
運輸支局によって書類の名称が異なる可能性があるので、「救助事業を始める場合の書式は何ですか?」と支局に問い合わせてみても良いかもしれません。
事業計画の内容は、
・ 開始予定日
・ 具体的なサービスとその料金
などを書きます。
※運賃とは違い、サービス料金は自由に決められるので、料金設定に悩まれる方は相場をお調べ下さい。
また、計画書なので、サービス提供予定日より前に提出しましょう。
② 救援事業時のルール
主なルールは以下のとおりです。
● 本来のタクシー業務を妨げないこと
● 運輸支局に事業計画の届出を出すこと
● 運賃を収受する際にはタクシーメーターを使用せず「救援」の表示をすること
● 営業区域は同一都道府県内であること
● 救援事業の会計区分とタクシー事業は分けること
● 営業実績を定期的に運輸支局長あてに提出すること
これらはどれも重要ですが、特に注意が必要なのは●の本来のタクシー業務を妨げないことです。
介護タクシーの利用を希望する方を断ってまで救援事業を優先することは避けましょう。
あとは、個人的に救援事業に関する注意点を3点まとめたので続いてご確認下さい。
❶ 介護保険は適用されない
❷ 任意保険は適用されるか
❸ 荷物の搬送時
❶介護保険は適用されない
1つ目は、救援事業には介護保険は適用されないということです。
介護保険が適用される、救援事業に似たサービスに「通院等乗降介助」があります。
通院等乗降介助を算定するためには、法人で介護タクシーの営業許可および訪問介護事業者の指定を受けていることが必要です。
それに対し、救援事業は個人事業主でも認められ、訪問介護事業者の指定を受けている必要がありません。
通院等乗降介助と救援事業は似ていますが、別物なので、救援事業は自費サービスなんだとお考え下さい。
※通院等乗降介助についてご不明な方は、こちらの動画でご確認下さい。
❷任意保険は適用されるか
2つ目は、救助授業中に起きた事故は人保険が適用されるかどうかです。
もし救援事業中にお客さんを載せていない状態で事故を起こした場合に、契約している保険会社はその事故が原因の被害に対して任意保険は適用されるのかを確認してほしいということです。
保険会社からすれば、救援事業中であっても事故だけどお客さんを乗車させていないため判断が分かれる可能性があります。
よって、救助事業をお考えの方は任意保険会社に事前にご相談されることをお勧めいたします。
❸荷物の搬送時
3つ目は、荷物の搬送サービスを提供するケースです。
救援事業は、あくまでも介護タクシーを利用する方に本来業務を妨げない【付随的】な形で提供されます。
もし荷物を反復継続して搬送していたらそれは救助事業ではなく荷物を搬送する事業者では?となり、貨物自動車運送事業といった別の営業許可を取らないといけない可能性も出てきます。
注意点は以上です。もしその他ご不明な点があればお問い合わせ下さい。
ありがとうございました。