介護タクシー事業者にインタビューしました|(株)タカモト
こんにちは、介護タクシー開業サポートの専門家の行政書士の上田です!
2019年になり介護タクシーの開業サポートを始めてから早3年。
ありがたいことに全国の事業者からご依頼をいただき、多数の営業許可を取得してきました。
許可取得後も定期的に連絡を取る事業者さんもいまして、お会いした際にはどうしても介護タクシーの話になります。
内容としては今後の事業展開といった未来の話がメインですが、たまに過去を振り返り「よくここまでこれたなー」「あれは独立前に経験しといて良かったな」といったお話になることも。
特に私は起業時からサポートをたこともあり、スタートアップからの3年間のお話にはそれぞれドラマがあり話に強く惹き込まれます。
コンテンツとしてとても魅力を感じたので、複数の事業者から「起業から3年経った今」についてお話していただきました。
そこで分かったことは、3年間介護タクシーを続けている事業所ごとに営業方法は異なるが続けてこられた理由があるということです。
これから開業を考えている方は「許可を受けても自分はやっていけるのか?」と不安をお持ちのことだと思います。
特に営業面ですよね。
どうすれば集客出来るのか。
許可を受けるまでに何をしておくべきか。
その不安を払拭するための一助となればと思い、既に許可を受けている介護タクシーの営業方法や開業時にしておくべきこと等をインタビューしてきました。
ご参考になれば幸いです。
主なインタビュー内容は次の通りです。
- 開業時から現在までの総括
- 開業時に不安だったこと
- 失敗談
- 自社の強み
- 営業方法 etc
是非ご覧ください。
Contents
事業所情報
今回は栃木県小山市にある(株)タカモト様(以下、敬称略)の介護タクシー事業の責任者の小林さんと代表取締役の渡邉さんにインタビューしました。
インタビュー記事の前に(株)タカモトのことを簡単に紹介します。
株式会社タカモトは栃木県小山市の総合商社です。
平成28年3月に介護タクシーの営業許可を取得し1台2人体制で事業を開始しました。
約3年経った今では3台5人体制と事業を拡大しております。
また小山市では第一号となる民間救急事業者として認定され、訪問介護と連動した介護タクシー事業も手がけております。
インタビュー概要
まず女性の管理者である小林さんには次のことを質問しました。
・介護タクシーを開業するきっかけ
・自社の強み
・開業時に悩んだこと
・女性ならではの介護タクシーの強み
渡邉社長には主に営業面について伺いました。
・東京と栃木の介護タクシー事業所のあり方の違い
・経営者目線の自社の強み
・小山市での集客
・今後の展望
地方で介護タクシーの開業を考えている方は必見です!
株式会社タカモト 介護タクシーの開業からこれまで
(左:上田 右:小林さん)
上田:本日はよろしくお願いいたします。
小林:お願いします。
上田:小林さんは(株)タカモトで介護タクシー事業の責任者をされていますが、前職はどんなお仕事をされていましたか。
小林:グループホームとデイサービスで勤務をしていました。
上田:施設系でお仕事されていたのですね。役職はありましたか?
小林:いえ、何もありません。
上田:それぞれ何年くらいやられていましたか?
小林:グループホーム、デイサービス含めて3年ですね。あとその前にホームヘルパーを9年程やっていました。
上田:介護の経験は豊富ですね。
そこからなぜ介護タクシーをやろうと思ったのですか。
小林: 個人的な話になりますが・・・
過去に私の父は入院していまして、病院側の都合で他の病院に転院しなくてはいけなくなりました。
私は病院が転院に使う車を手配してくれると思っていましたが、当日に自分達で準備してくださいと言われまして。
父の容態は悪く普通の車両にはとても乗せることが出来ませんでした。
こういう時って何に頼ればいいか全く分からなく転院に時間がかかってしまいました。結局父は転院してすぐ亡くなりました・・
上田:それは悔やまれますね。
小林:今の私でしたら転院時には介護タクシーを利用すればいいと分かります。
迅速に転院できていれば、父は助かったのではないのかと思っています。
上田:病院は転院に積極的には協力してくれないんですかね…
小林:もちろん病院側から介護タクシー事業所の一覧表は渡されました。ただ転院当日の朝に渡されたので全然捕まりませんでしたね…。
私がそうだったように今でも転院時に介護タクシーを利用することを知らない方もいらっしゃると思います。
転院する際には介護タクシーを頼るものだと多くの方に伝えていくことが私の使命だと思っています。
上田:辛い経験があったからこそ、介護タクシーを始めようと思われたのですね。
小林:はい。
そういう経験があったこともあり医療の必要性の高い方々の移送を目的とした介護タクシー、いわゆる民間救急の認定も取得しようと社長と決めました。
幸いにも小山市では私たちが第一号の民間救急の認定事業所でした。
これは嬉しかったですね。
歩行が困難な方でも適切な設備と知識で対応できることが私たちの強みだと小山市に認めてもらえた気がしました。
介護保険への対応も必要だと思います
(ストレッチャーも対応出来る車両)
上田:次に(株)タカモトの具体的な業務内容について教えてください。
どういった方からの依頼が多いですか。
小林:病院からの依頼ですね。
通院に限らず外出サポート全般やっております。例えば入院患者さんの一時帰宅等もそうです。病院から一緒に家まで帰って、何時間か家で介助して病院にまた戻る、みたいなサポートです。
管理が必要なお客さんも多く、病院と密に連絡をとっています。
なるべく自宅で過ごせる時間を多く設けてあげたいですね。
上田:なるほど。
病院と密に連絡を取る必要があるお客さんがいることもあり、社会保険である介護保険が適用されるタクシーも始められたのですね。
小林:はい。
病院からの依頼が増えてくるとケアマネージャーさんにも介護保険のイメージをどうしても持たれます。
通院等乗降介助やっていますか?って聞かれるんですよ。やっていなかったんで何回も断って…もったいないなと。
こんなにお問い合わせがあるなら訪問介護もやろうってなりました。
上田:介護保険法も適用されるタクシーっていうのが必要性を感じたっていうところですね。
小林:そうです。
ケアマネージャーだけでなく利用者さんにも何回か言われたんですよね。
「介護保険対応じゃないんですね」と。
上田:利用者さんも介護保険が適用されるタクシーをご存知なんですね。
小林:そうですね。
通院等乗降介助をご存知な方からすれば介護保険対応じゃないと割高感を感じてしまいます。
ニーズに応えられないと信頼は獲得出来ないので、急いで介護保険に対応させました。
上田:おっしゃる通りですね。
ちなみに今全体で何名でやられているんですか?
小林:看護師を含めて5人ですね。運転手は3人です。
上田:利用者さんからも病院からも看護師がいるっていうのも心強いですね。
病院の通院をサポートしている事業所さんがどうしてもぶつかる問題だと思うのですが、どうしても予約は朝と夕方に移送って偏りませんか?
小林:そうですね、特に朝に依頼が集中します。
転院手続きの移送が特に重なります。今までは重なったらお断りしてました。
上田:それは受けられないからですよね。
小林:そうです。
あまりにも重なるので3台に増車しました。断る件数は減りましたが、それでもお断りする時はどうしてもあります。
そんな時は既存客の方がありがたいことに時間をずらしてくれるんです。
上田:1時間後でいいので移送してください。ということですか。
小林:はい、それがすごくありがたいんですよね。
タカモトさんに移送してもらえるなら待ちますと。ありがたい限りです。
救女隊って呼ばれています!
上田:いろいろとお話していただきありがとうございます。
次に3年やってきて分かった御社の強みを教えてください。
小林:先日ケーブルテレビに出演させてもらい「救女隊」ってキャッチコピーをつけてもらいました。
スタッフがほとんど女性で構成されているためです。
youtubeにもCMが公開されています。
(※2022/10/31時点:非公開になっておりました)
小林:確かに女性だけってそんなにいないですよね。
女性ならではの利用者さんへの接し方や気遣いはうちの強みではないかと思います。
デメリットもある
小林:逆に女性しかいないことのデメリットもあります。
初見の利用者さんというんでしょうか…
上田:面識がない方に不安があるということですか?
小林:はい。本当にごく一部の方ですが、女性だと舐められることもあります。
「お前なんか呼んでない、帰れ!」みたいな。
で、そういうときに男性の渡邉社長にチェンジすると「お願いします」みたいな…
相手を見ているんだろうなぁって思います。
普段は温厚な方でも病気にかかると暴力的になる人がいるので。。
しょうがないとは思っています。
上田:女性ならではの悩みなのかもしれませんね。
小林:ですね。
女性で開業する方は仕事上頼れる男性がいた方がいいと思います。
上田:男性がいると心強いですもんね。
小林:ただデメリットとは言いましたが、逆に暴力的になる方の付き合い方を分かっていることも大切なことだと思っています。
上田:なるほど。
小林:特にご家族の方に向けてです。
利用者さんが暴力的になることを心配しています。
そんな時は
「私たちもそういう人を初めて介助するわけでもないし、分かっとるから大丈夫です。」と伝えるとご家族は安心されます。
こういう共感を大事にしてご家族の心配を拭うことは女性の方が適していると個人的には思いますね。
開業時の自分にアドバイスするなら・・
上田:小林さんは介護の職歴はありましたが、運転業務という意味では未経験でした。
運転面に不安はありましたか?
小林:運転より乗車時の乗降介助が不安でした。
無事に出来るかどうか不安で…。慣れるまで手に汗がびっしょりでした。
上田:運転より車への乗り降りの介助というところですね。
営業面に関しての不安はいかがですか?
小林:それはお客さんが来なかったらどうしよう。事業としてやっていけるのか。ですね。
上田:皆さん、一番不安に思うところですよね。
その不安を払拭するために、過去の自分にこれだけはしておいた方がいいとアドバイス出来るとすれば何てアドバイスされますか?
小林:「事業開始前に同業者さんと名刺を交換した方がいいよ。」ですね。
上田:開業前にお近くの介護タクシー事業者さんと名刺交換をした方がいいと?
小林:はい、「よろしくお願いします」みたいに挨拶程度でいいので。
私は積極的に交友を図りませんでした。
上田:なぜ、やらなかったのですか?
小林:当時は必要性を感じなかったことと「どう思われちゃうのかな」みたいのを考えちゃって。
上田:では、もし開業期に戻れるとしたら同業者と積極的に名刺を交換されるということですね。
小林:はい。事業をしていく上でとても大事なことです。
上田:なぜですか?
小林:結局、自分たちだけでは全ての依頼を受けきれないからです。
ありがたいことに他事業所様からホームページ経由で連絡をいただきます。要は自分のところがいっぱいで、この日輸送をお願い出来ますか?みたいな感じで。
ただ私からすると、会ったことない方に利用者さんを紹介することは出来ません。もしお客さんが不快に思ったらどうしようと不安がつきまといます。
これは私が紹介先と人間関係が出来ていないことが原因です。
信頼できる事業者さんが複数いると利用者さんも輸送手段に困りません。うちがいっぱいなら知り合いの事業所さんに安心してを紹介出来たと思います。
結局、こういう助け合いを事業所同士で気持ちよく出来るとお互いに事業は発展していくのでしょうね。
上田:他事業所と単純なライバル関係にならずに協力しあのが介護タクシーの特色ですよね、
お客さんを獲得する効果的な方法は
上田:3年事業を続けられたということは御社が利用者さんに選ばれ続けたということだと思います。
主にお客さんをどのような方法でお客さんを獲得されましたか?
小林:きっかけはホームページもしくは各病院に置かせていただいているパンフレットですね。
一番効果が大きいのは病院のパンフレットです。
上田:病院ですか!
それは(株)タカモトが民間救急の認定事業者だという理由も、病院に一定の評価を受けている一因だと思いますか?
小林:そうですね、他の業者さんには民間救急と書かれていないので。
上田:これは私の勝手なイメージですが
救急車に乗ってきた車椅子が必要な方が幸いにも大事には至らず家に帰るとなった場合に、帰宅する手段は介護タクシーしか基本的にはありません。
そこで例えば深夜も対応可能な体制にすると、病院からさらに評価を受けるものだと思っています。
小林:はい、私もそう思います。
実際、深夜に病院から電話はかかってきます。時間帯的には0時過ぎから3時頃まで多いですね。
上田:ちなみに、タカモトさんはその時間帯営業されているんですか?
小林:基本的に何時から何時まで、っていうのは謳っていません。
上田:営業時間を明示していないと。
小林:そうです、なので、…行けるにはいけるんですけど。
うーん、実際のところは行けていない状態です。
上田:24時間体制となると大変ですよね。
小林:というより、そのお客様の家がどのような状態なのかが分からないのが…。
乗せたのはいいけどご家族の方がいなくて降ろすことできないという状態もあり得ます…
他にも深夜だと女性の私が一人で連れていけるか。こんな問題もありますよ。
エレベーターがない2階とかもあり得ますし。
中途半端に対応するのであればやらない方が信頼関係を築けるかと思っています。
利用者さんを笑わせたいです!
上田:ネガティブな質問が多くなりました。逆にポジティブに介護タクシーをやってて良かったことを教えてください。
小林:ありきたりですが「ありがとう。」って笑顔で言われたときはやってよかったと思います。
世間的に介護業界って離職率も高くイメージって悪いじゃないですか。
私も施設で勤務していましたが資格を取っても辞める方が多かったです。それはお給料だったりストレスなど理由は多々あると思いますが。
結局利用者さんを笑わせてなんぼだと思うんですよ。
最初は心を開かなかった方が笑ってもらえると「あ、笑わせた!」みたいな。そこでやりぃみたいな気持ちではあります。
介護タクシーに限りませんが、そういうことに喜びを感じられればいいでしょうね。
上田:小林さん自身がやりがいを感じているってことが大事ですよね。
笑わせてやろう!って気持ちになれる仕事。
僕自身もいろんな介護事業所の方と付き合ってきました。
皆さんに共通して言えることが人と喋ることが好きな人、相手の懐に入ろうって意識がある人は営業面でもうまくいっているイメージがあります。
小林:そうですね。
介護事業に向き不向きがあるとすれば人と会って話をすることに抵抗がない方は向いていると感じます。
利用者さんをお客さんという意味合いだけで捉えていないというのでしょうか。
栃木県での営業方法
上田:小山市は比較的栃木県の中でも人口が多いエリアだと思います。
介護タクシー事業者間の競争は激しいですか?
小林:あまり激しいとは感じないです。
古くからやられている業者さんもいますけど、これといってないですね。
上田:特に積極的に広告をしなくてもお客さんが来ているな、という印象があるということでしょうか?
小林:まぁ色々な広告は出していますよ。
ただ広告に関しては代表の渡邉がやっていますので、直接聞いてもらった方がいいです。
上田:そうですか。では渡邉社長に聞いてみます!
効果的な広告は・・
上田:渡邉社長!
渡邉社長が実践されている栃木県ならではの介護タクシーの営業方法を教えていただけますか。
まず単純に東京都や栃木県等の一地方の介護タクシー事業者の営業方法って違いますか。
渡邊:違いますね。
まず都内ですが、介護タクシーの需要も多く業者の数も多いです。
また車を所有している個人の割合は栃木と比べれば少ないです。
そして通勤には車より電車を利用しますよね。
つまり都内より栃木の方が自分で運転する機会が多いので、お金を払って運転サービスを利用する心理的なハードルは高いと言えます。
実際に小山では車を持っている人の多くが通勤に車を使用します。
そういう方々は介護タクシーは現状利用しないでしょう。
通勤時に、父ちゃん母ちゃん乗れと、病院まで送ってくよ、お昼休みにでも迎えにいくよ。そんな光景を病院ではよく目にします。
つまり介護タクシーに頼るという発想が都内の人と比べて少ないように思います。
上田:同じ家族構成でも自分の車で病院に連れて行く発想が都内よりも強いということですね。
渡邊:そうです。
地方は車社会なので、常時車いすを使用する歩行困難者等にしか介護タクシーを使う必要はないと思われています。
都内と比べて機能役割が十分に伝わっていない。こういったことです。
上田:歩けるのであれば介護タクシーを利用するいう発想はあまり無いというところでしょうか。
渡邉:そうですね。
そこで当社では小山市内のテレビ、電子広告、それとバスの広告、など普通に歩ける方向けの不特定多数の方に発信する広告も積極的に寄稿しています。
目的は介護タクシーを認知してもらうためです。
なのでマスメディア広告を見た人からの依頼はほとんどありません。ちょっとはがっくりしていますが。(笑)
主な利用者は病院から紹介された人、ホームページ経由のお客さんです。
上田:集客に特化する広告であればテレビやラジオよりパンフレットの方が効果的ということですか?
渡邊:そうですね。広告は限定された方が宜しいかと思います。
集客に関してはパンフレットが一番、次にスマホですね。
印象としてはインターネットを全く使わない高齢者が病院のパンフレット、高齢者のご家族の方がスマホっていうイメージです。
上田:テレビやラジオは広告費が安いものではありません。集客性が弱いのであれば辞めようとは思われたことはありませんか。
渡邉:全くありません。
先ほども申し上げましたが、当社が地元のテレビやラジオに広告を出している理由は単純な認知度アップと介護タクシー事業のイメージを上げるためです。
当社が契約したテレビの広告は市役所のテレビにも流れます。
1日に15回、1年間流れるんです。
市役所でタカモトの名前を見てもらうことで小山市内での認知度を向上させています。
田舎で良いイメージを持ってもらうためには行政機関で広告を流すことでしょう。
上田:なるほど。
テレビ広告は近々の集客というより今後の事業展開として「小山市の介護タクシーといえばタカモト」になるための投資だと。
渡邊:その通りです。
やはり信用を積み重ねることが大事です。「目で訴えるもの」ここを意識しています。
ただデメリットが1つ!
広告の営業電話が鳴りやみません!(笑)
広告会社の餌食になりたくなければ、あまり広告しないことが一番かもしれません。
上田:なるほど!(笑)
東京と栃木の違い
渡邉:広告の話ではないのですが東京と栃木の事業者の違いについて感じることがあります。
まず当社は民間救急の消防庁から認定を受けています。
外からも見えるように車体に「消防庁認定」って貼り付けて運転しているんですね。
これは栃木ではとても重要なことだと思います。
上田:なるほど。
渡邉:地域によっては介護タクシーの事業者がなく、タクシー会社がユニバーサルデザインタクシーとして介護タクシーと言っているところもあるようです。
ユニバーサルデザインタクシーとは、健康な方はもちろんのこと、足腰の弱い高齢者、車いす使用者、ベビーカー利用の親子連れ、妊娠中の方など、誰もが利用しやすい”みんなにやさしい新しいタクシー車両”であり、街中で呼び止めても良し予約しても良しの誰もが普通に使える一般のタクシーです。 UDタクシー研究会
厳密にいえばユニバーサルデザインタクシーは介護タクシーではありません。
民間救急の認定があれば介護タクシーですよと地域の人に見てもらうことが出来るわけです。
ですが栃木だと消防庁の認定を取らずにやっている事業所が非常に多いと感じます。
ですから手前どもは小山市で第一号の認定事業者になりました。
田舎ではそういった肩書は非常に強みになり信用を得られるのものだと思っています。
上田:東京よりも認定などの肩書が信用に繋がりやすいと。
渡邊:そうです!
実際に利用者さんも病院からの紹介もパンフレットからのお問い合わせが多いですが、民間救急の認定を受けているのは現在では当社だけです。
認定があるかないかで非常にイメージが変わります。
上田:田舎で開業される方は消防庁の認定を取った方がいいんじゃないかことですよね。
渡邊:必要だと思いますよ。
同じ地域のタクシー会社も介護タクシーをやっておりますが、認定は取っておりません。
結局そこまで力を入れていないんですよ。
この認定で本気度を見せつけられると思っています。
上田:確かにですね。
渡邊:ただし、認定を受けるのであれば、車椅子だけじゃなくてストレッチャーが好ましいです。ストレッチャーだと寝たきりの人の転院も可能ですからね。
ストレッチャーの認定を受けるためには最低でも2人の有資格者が必要です。
病院からの信頼も増えるはずです。
経営者から見た強みは
上田:先程、小林さんから(株)タカモトの強みを聞きました。経営者から見た御社の強みも教えてください。
渡邉:うちは介助料が他の事業所と比べて安いです!
車いすやストレッチャ―の使用料込で4,000円です。距離や時間にかかわらずです。(インタビュー当時。2018年)
上田:時間距離関係なくですか。それは安いですね。
渡邉:また当社は基本的には女性が対応していますが、力仕事になりますと男性の私が対応します。
この前ですかね、
小林から80歳くらいの女性の介助があるから来てくれと言われ、行ってみたらエレベーター無しの2階にお住まいの方でした。
30cmくらいの高さのベッドからお姫様抱っこして車両に載せろと言うんですよ。
上田:エレベーター無しですか。
渡邉:もう私も55歳超えていましてね、お客さんを担ごうとすると
「あんた大丈夫なんか?落とすんじゃないよ?」
なんて聞いてくるんですよ!
だから私は
「お姉さん大丈夫!安心して!」
ちゃーんとお姫様扱いしたんですよ!先生、優しいでしょ僕?(笑)
上田:はい、とても素敵です。(笑)
渡邉:階段も無事に下りて車両に乗せましたよ。
ここまでして介助料4,000円据え置きって我ながらとても親切な企業だって思いましたよ。(笑)
上田:担ぐ必要があれば人を増やして介助料を上乗せすることが多いですよね。
労力距離にかかわらず介助料4,000円据え置きは魅力的ですね。
渡邉:この話には続きがありましてね
この介助後、運動不足がたたって肉離れを起こしていまして。
病院に行ったら治療代が4,000円でした。
まさに身を削った4,000円でした。(笑)
上田:(笑)
渡邉:でもこういう触れ合いが介護タクシーの面白さなのかもしれませんね。
上田:お客さんと楽しく話すことは介護タクシー事業には必要な素養なんですね。
インタビューを終えて 上田の感想
私と(株)タカモト様との付き合いは3年前に遡ります。
東京と栃木と距離がありましたが、介護タクシーの申請の専門家である私に相談をしたいとご連絡をいただきました。
その時から今でもお付き合いをさせていただいております。
当時から渡邊社長は近い将来に小山でグループホームを立ち上げたいとおっしゃっていました。
ただ介護事業は会社として初めてのことだったので、とっかかりとして車1台で開業出来る介護タクシーから始めていくとのことでした。
渡邉社長の夢は㈱タカモトが市民の皆さんが安心して老後の生活を過ごせる場所を提供してくれる会社だと認知されることだと口にしています。
インタビュー中にもありましたが、小山市初の消防庁認定事業所として認定を受けていることもり、消防署の方からも研修時には車両を貸してほしいと言われる程、一目置かれているようです。
また、広告や地域でのあり方などの経営手段もざっくばらんにお話していただきました。
先行投資という形でテレビやラジオと規模の大きい広告もしておりますが、集客に関してはパンフレットやスマホの方が効果的であることも実体験として貴重なものです。
お二人とも共通して人と接することが好きで、苦労話も面白おかしく話されていたことです。こういう点は介護事業で独立する方に必要な素養なんだと思います。
小山市で一番の介護タクシーの事業者として認められるように私も出来る限り今後ともサポートしていきます。
渡邊社長、小林様、どうもありがとうございました!
行政書士 上田 貴俊]