【介護タクシーよくある質問】ケア運賃と介護運賃の違いについて簡単解説!

まとめと要約
この記事はYouTubeで配信している「【介護タクシーよくある質問】ケア運賃と介護運賃の違いについて簡単解説!」の内容を文字起こししたものです。
ケア運賃と介護運賃は似て非なる言葉です。その違いにつき解説しました。開業予定の方は是非ご一読ください。

今回お話しするテーマは「介護タクシー・ケア運賃と介護運賃の違い」です。

ありがたいことに、今まで多くの介護タクシーの営業許可申請書の作成提出代行をしてきました。その代行の中には運賃の許可申請も含まれています。

なのでケア運賃について私たちから申請者様に対して「自動認可運賃表からお選びください」「介護運賃はいくらに設定されますか」といったやり取りがありますが、

ケア運賃って何ですか」「普通のタクシー運賃と何が違うんですか?」といった質問や

うちはケア運賃ではなくて介護運賃を設定してください」など、運賃制度につき混乱している方が一定数いらっしゃるようにお見受けいたします。

確かに似たような言葉で、その違いって分かりづらいですよね。

そこで今回は、介護タクシーのケア運賃と介護運賃の違いにつき下記のように説明を進めます。

記事の構成

① 運賃全体の概要

② ケア運賃の説明

③ 介護運賃の説明

④ 両者の比較

この記事をご覧いただければ、「ケア運賃と介護運賃って全然違うものだな」と思ってもらえるはずです。

特に介護保険制度と連動した介護タクシーを始めたい方は両者とも関係があるので、これを見てぜひ理解を深めてください。

介護タクシーのケア運賃と介護運賃の違い

運賃全体の概要

まず、タクシーの運賃制度につき、ざっくり理解しましょう。

介護タクシーだけではなく、私たちが普段乗っているタクシーにも運賃ってありますよね。

あの運賃は、地域・年度・車両の大きさを考慮して国土交通大臣が一定の範囲内において定めています。その一定の範囲内において定めた運賃を自動認可運賃と呼びます。

実務的には、上限運賃から下限運賃と表示して、範囲内から設定したい運賃を選べるように表になっています。この表が、冒頭で少し話題に出た自動認可運賃表です。

この自動認可運賃はもちろん、適当に定めたものではありません。

運賃の範囲を指定するにあたっては、適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないといった基準が設けられています。

つまり、自動認可運賃は適正に計算された国土交通大臣お墨付きの運賃です。お墨付きゆえに、一般のタクシー事業者はこの運賃表の範囲内でタクシーの運賃を選ばないといけません。

この表より安くすることは原則できないということです。

また、運賃に効力を発生させるためには国土交通大臣から認可を受ける必要があります

よって、タクシー事業者すなわち申請者は運輸局に運賃の認可申請書を提出する必要があるということです。

なので、私が冒頭で言っていた「ケア運賃は自動認可運賃表からお選びください」という意味は「その申請者に該当する地域・車両・年代に対応した自動認可運賃表に書いてある上限運賃なのか、B運賃なのかをご自身で選んでください」ということになります。

これがタクシー運賃制度のざっくりした概要です。

タクシー運賃制度まとめ

1)国土交通大臣が一定の範囲で定めた運賃を自動認可運賃という

2)自動認可運賃表の中から運賃を決める

3)自動認可運賃表より安く設定することはできない

これを踏まえて、ケア運賃と介護運賃の違いを確認しましょう。

ケア運賃

まずは、ケア運賃です。

ケア運賃とは自費の福祉輸送サービスを行う場合の運賃つまり介護タクシー事業者に適用される運賃です。

タクシーの運賃は原則、①距離制時間距離併用時間制の3つになります。

しかしケア運賃はこの3つの原則以外にも次の運賃の設定が可能です。
 ・一定の輸送範囲内における定額運賃
 ・時間制運賃の細分化

また、ケア運賃は運賃の割引や料金を任意で設定することもできます

つまり、自動認可運賃表の下限運賃よりも安く設定することも可能ということです。ただしこれは実績に応じてという条件付きです。収益などによる原価計算から「効率的な経営ができている」と認められればOKということです。

初めて許可を受ける新規申請の際には実績がないので自ずと「最初は自動認可運賃表から運賃を選んでください」となる、ということになります。

これら運賃設定の弾力化はケア運賃にのみ認められているもので、一般のタクシー事業の運賃では設定できません。

まとめます。

ケア運賃とは
1)自費の福祉輸送サービスを提供する際の運賃

2)実績に応じて自動認可運賃表の下限運賃よりも安く設定できる

3)1や2からわかるように、弾力的に認可を受けられることが特徴と言える

介護運賃

次に介護運賃についてです。

介護運賃とは、ケアプランに基づき訪問介護事業者の訪問介護員が要介護者等の輸送と一体的に介護を行う際の運賃です。

簡単に言うと、介護保険法上の訪問介護事業者の指定を受けており、なおかつ介護タクシーの営業許可を受けている事業者で働くヘルパーさんがケアプランに基づいて病院等に輸送する際の運賃ということです。

上記条件を満たせたうえで事業用車両で輸送する場合に介護運賃は適用されます。

また、二種免許を持っていないヘルパーが輸送するぶら下がり許可にも介護運賃は適用されます。

「ぶら下がり許可って何?」と思われた方は、こちらの動画をご覧ください。

以上をまとめると、

介護運賃まとめ

・自費の介護タクシーのみ提供する事業者は、介護運賃と関係がない

・自費サービスのみ提供する場合はケア運賃のみ許可を受ける必要があるといった関係性

介護運賃はどのように設定するのか?

介護運賃は時間制・距離制・定額制の3つから構成され、設定したいものだけ認可申請します。

設定するにあたっては、自動認可運賃といったような範囲が設定されたものはなく、事業主が比較的任意に設定することができます。

例えば、ここに書いたものはすべて介護運賃として認可を受けているものです。こう見ると、本当にバラバラですよね。

では、完全に任意で介護運賃は設定できるのでしょうか?

実は、そうではありません。以下のとおり、大きく3点確認してください。

 1)自動認可運賃より安くすること

 2)距離制は100m単位が最小であること

 3)運賃は10円単位が最小であること

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.自動認可運賃より安くすること

介護運賃は自動認可運賃表より高く設定することはできません。介護保険法という制度と連動している以上、タクシーより高くなることは制度の趣旨に反しているということでしょう。
なので、自車が適用される自動認可運賃表と比べて、距離や時間の単位を揃えたときの金額を比較して上回っていないかを確認しましょう。


ただし、運輸支局によっては自動認可運賃より安くても「介護運賃はこの金額より安くしてください」と指定されることがあるので注意が必要です。

2.距離制は100m単位が最小であること

距離制で運賃を収受する場合には、距離を測る必要があります。

通常はタクシーメーターで距離を測りますが、車両にタクシーメーターがついていないということもありえますよね。

その場合の距離の測り方は、トリップメーターを使います。トリップメーターで距離を計測すると、表示される最小単位が100mなので100mあたり〇〇円とか、100mの倍数(1kmや700m)あたり〇〇円と設定するよう指示を受けるとお考えください。

3.運賃は10円単位が最小であること

例えば1km=5円、30分=58円などで申請しても認可されないということです。

以上、まとめるとこうなります。

介護運賃の設定まとめ

1)自動認可運賃より安くすること

2)距離制は100m単位が最小であること

3)運賃は10円単位が最小であること

まとめ

ケア運賃と介護運賃の違いにつき、ご理解いただけましたでしょうか。

自費の輸送サービスのみであれば ⇒ ケア運賃、
ぶら下がり許可や介護保険法と一体的な輸送を行う場合 ⇒ 介護運賃を申請する といった関係性ですね。

運賃に関しては、迎車料金を設定する場合には運賃の認可申請時に一緒に設定しないといけません
迎車料金はスリップ制か定額制かのいずれか(二択)になります

迎車料金が分からないという方は、こちらの動画も合わせてご覧いただければと思います。

また、この動画を見てぶら下がり許可に興味を持たれた方は過去の動画が参考になります。ぶら下がり許可は、法人化して訪問介護事業所の指定も必要なので個人が開業するよりハードルは上がりますがご関心のある方はこれらの動画をご確認ください。

もう1点、よくある質問として「介助料金を設定したら認可や届出は必要ですか?」というものがありますが、これは必要ありません。任意に設定が可能です

ただし予約料金は運賃認可とは別に届出が必要です。設定する際はお忘れなく!