処遇改善加算手当はキャリアアップ助成金 正社員化コースの賃金要件の対象となるのか?


処遇改善加算制度やキャリアアップ助成金のように、国は企業に様々な補助金や助成金を用意しています。
事業所を運営していく中で、こういった補助の制度や助成金をうけていきたいですよね。
様々な助成金について調べる中で、例えば処遇改善加算手当の金額を支給する際、キャリアアップ助成金正社員化コースの3%の要件にも当てはまるのでは?と、考える方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、制度や補助金の併給ができるのかという部分で、「処遇改善加算手当」「キャリアアップ助成金 正社員化コースの賃金要件」の対象になるのか、弊社の見解をご説明いたします。

まず、それぞれを分解していきたいと思います。

処遇改善加算手当

処遇改善加算の支給については、事業所によって支給方法を定めることができます。
もし処遇改善加算の支給方法を「手当」として金額を定め、毎月一定額を支払う場合、就業規則にその旨を記載しなければなりません。

キャリアアップ助成金 正社員化コース

次にキャリアアップ助成金 正社員化コースについてです。
キャリアアップ助成金 正社員化コースの申請の受給要件のひとつに、正社員になった際に賃金を3%(2023年1月現在)以上増加させ、そのことについて記載している就業規則の内容で運営するとあります。

 

処遇改善加算手当とキャリアアップ助成金正社員化コースの賃金要件を組みあわせた場合

処遇改善改善加算手当とキャリアアップ助成金の正社員化コースを組み合わせると、「賃金の3%以上である金額の処遇改善加算手当」を「正社員になった際に支給するように就業規則へ記載」すれば助成金が受け取れるような形式になると思います。

しかしながら、ここで注意ポイントがあります。

 

処遇改善加算手当とキャリアアップ助成金正社員化コースを組み合わせる際の注意ポイント

 

まずそもそも、処遇改善加算の性質は下記です。

①処遇改善加算は、毎月の介護報酬に応じた割合で支給されるが、その加算額は必ずしも一定額ではない
②処遇改善加算は未来永劫続くわけではなく、制度が廃止される可能性がある

しかし、キャリアアップ助成金 正社員化コースでの賃金について、
「手当は名称の如何を問わず、実費弁償的なものや毎月の状況により変動することが見込まれるものは除く。」
と記載があります。

つまり、「処遇改善加算が廃止されたら手当も無くなる」と記載することはNGなのです。

そこで、もしキャリアアップ助成金の正社員化コースで処遇改善加算手当の支給を想定するのであれば、以下のように就業規則での記載を推奨します。

【 記載例 】

第〇〇条 処遇改善加算手当
1  訪問介護職員を含む介護職員については、介護報酬にあわせて交付される介護職員処遇改善加算 ( 以下「 処遇改善加算 」という 。)を、
○○~○○円以上の範囲の中で毎月一定額を処遇改善加算手当として支給する。
2  支給は、処遇改善加算を受領した翌月の給与支払日に支給をする。
3  支給対象者は、正社員として雇用をしている訪問介護職員を含む介護職員とする。
4  処遇改善加算手当は、個人の勤務実績等により、支給金額を決定する。
5  処遇改善加算手当は、処遇改善加算が廃止された場合には、賃金の3%以上の手当金額にて、処遇改善加算手当として支給を継続する。

上記でいいますと、まず、毎月一定額の手当の支払いが必要となります。
また、キャリアアップ助成金正社員化コースの条件である賃金の3%以上のUPを処遇改善加算手当にて補っているので、
この手当として、3%以上の金額の支給が継続することは明記しておくようにしましょう。

 

まとめ

弊社の見解とはなりますが、処遇改善加算手当は、キャリアアップ助成金正社員化コースの支給条件となる可能性があります。
しかし、そのためには就業規則にしっかりと明記はもちろん、しっかりとした労務管理が必要となってきます。

補助金や助成金などをうまく事業経営に活かし、いい労働環境を築いていくようにしましょう。