【処遇改善加算】法定福利費等とは?賃金改善後の事業主負担の増加分の計算方法

この記事の要約
介護職員処遇改善加算の算定方法及び取り扱いにつき解説しています。もし自社で計算することが難しい場合には介護保険法に詳しい社労士に相談することをオススします。理由はこちらの『介護保険法に詳しい社会保険労務士と顧問契約を締結するメリット』 にてご確認ください。

処遇改善加算とは、
「介護施設や事業所が、職員のキャリアアップの仕組みを作成したり、職場環境の改善を図ることで、報酬として介護職に携わる職員の給与をUPするためのお金を国が支給する」
制度です。

目的としては、今いる職員の賃金をUPし、働きやすいやりがいのある職場をつくり、定着率をあげるためにできた制度です。

処遇改善加算にて支給をした賃金改善額には、法定福利費(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童手当拠出 金、雇用保険料、労災保険料等)において、賃金を改善したことにより増加した法定福利費の事業主負担増加分を含めることができます。

※ただし、任意加入とされている制度(退職手当共済制度等における掛金等)に係る増加分は含めることができません。

では、この法定福利費等の範囲はどこまでなのでしょうか?
また、法定福利費の事業主負担の増加分はどのように算出するのでしょうか?

法定福利費とは?

そもそも法定福利費とは、なんでしょうか?
具体的にいうと、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料や雇用保険、労災保険といった労働保険料のうち、企業が負担する部分のことです。

ちなみに法律においては、健康保険法、労働基準法、厚生年金保険法、介護保険法、労働者災害補償保険法、雇用保険法などで定められています。

また、会計処理においては、勘定科目として使われます。

賃金改善に伴う法定福利費の事業主負担とは?

賃金改善に伴う法定福利費の事業主負担の増加分とは、賃金を改善したことにより、保険料等の基礎となる等級が上がり、事業主負担が増加した場合の改善前の負担額と改善後の負担額の差額をいいます。

例えば、令和4年東京の健康保険、厚生年金保険料でいうと、基本給200,000円をもらっていた人が、処遇改善加算で基本給の底上げし240,000円となった場合、

200,000円の際の健康保険料は19,620円、厚生年金保険料は36,600円ですが、
240,000円の際の健康保険料は23,544円、厚生年金保険料は43,920円となります。

合計で11,244円が増額し、その分事業主負担が増えたことがわかると思います。

賃金改善後の事業主負担額の増額分は実際どのように計算する?

では、この改善後の事業主負担額の増額分は実際どのように計算をして算出するばいいのでしょうか?

算式は以下の通りとなります。

「前年度における法定福利費等の事業主負担分の総額」
健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料や雇用保険、労災保険といった労働保険料のうち、企業が負担する部分の前年の総合計

÷

「前年度における賃金の総額」
前年の従業員全員の賃金の総額

×

「当年度の賃金改善実績額」
当年の処遇改善加算実績額

以上の式で金額の算出が基本的には可能です。

簡単に言うと、前年度の賃金総額と事業主が負担した法定福利費の割合を算出して、今年の賃金総額を乗じる。つまり今年の賃金総額の事業主が負担した法定福利費の割合とした合理的な概算になるということです。

ただし、従業員の方がほとんどが社会保険、雇用保険に加入できていないとなると実際金額との乖離が出てくるため、この計算式は合いません。

別途確認が必要となってきますのでご注意ください。

まとめ

法定福利費の事業主負担増加分は、言葉のむずかしさからわかりにくい部分もあると思います。
一つ一つ紐解いていき、しっかりと計算をするようにしましょう。