処遇改善加算を支給した場合、社会保険の随時改定の対象となるのでしょうか?

この記事の要約
介護職員処遇改善加算の算定方法及び取り扱いにつき解説しています。もし自社で計算することが難しい場合には介護保険法に詳しい社労士に相談することをオススします。理由はこちらの『介護保険法に詳しい社会保険労務士と顧問契約を締結するメリット』 にてご確認ください。

処遇改善加算を支給した場合、健康保険や厚生年金保険料の計算をするための手続である随時改定の対象となるのでしょうか。

処遇改善加算とは、
「介護施設や事業所が、職員のキャリアアップの仕組みを作成したり、職場環境の改善を図ることで、報酬として介護職に携わる職員の給与をUPするためのお金を国が支給する」
制度です。

目的としては、今いる職員の賃金をUPし、働きやすいやりがいのある職場をつくり、定着率をあげるためにできた制度です。

では、処遇改善加算を対象職員へ支給したとき、「随時改定」の対象となるのでしょうか?

随時改定とは?

そもそも「随時改定」の手続きを知っていますか?

 

随時改定とは、給与が昇給や降給したりと変更があったときに、その変動を社会保険料額に反映させるための制度です。
社会保険料自体は毎年一回更新されます(「定時決定」)。
しかし、一定の要件を満たすような給与変更があった場合には、定時決定を待たずに社会保険料の変更の届出を提出する必要があります。
これが随時改定です。また、提出する書類の名称が「月額変更届」であることから、月額変更とも呼ばれます。
給与の額と社会保険料額に大きな乖離が出ると、将来受け取る年金額等に影響が出てしまうため、随時改定は漏れなく、かつ遅滞なく行う必要が出てきます。

つまり、処遇改善加算を従業員へ支払った場合、随時改定の対象となる可能性が出てくるのです。

 

処遇改善加算は随時改定の対象なのか?

処遇改善加算を対象の従業員へ支払った場合、随時改定の対象となるのはどのようなケースなのでしょうか?

まず、前提として、随時改定の対象となる要件は以下となります。

(1) 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった
(2)「変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額」と、
「これまでの標準報酬月額」との間に2等級以上の差が生じた
(3)固定的賃金の変動月以後の継続した3ヶ月間の報酬支払基礎日数がすべて17日以上

上記(1)~(3)すべての要件を満たした場合、変動月から起算して4カ月目(例:4月に支払われる給与に変動があった場合、7月)の標準報酬月額から改定されます。

それでは、処遇改善加算の支払い方法別に確認していきましょう。

 

①基本給に上乗せして支給をした場合

基本給に上乗せして支給をした場合、随時改定の要件である(1)の固定賃金の変動にあたります。
基本給が処遇改善加算でUPされることにより、随時改定(2)の要件である、「変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額」と「これまでの標準報酬月額」との間に2等級以上の差が生じ、さらにその変動させた月以後、3か月連続で報酬支払基礎日数が17日以上を超えていた場合、随時改定の対象となってきます。
つまり、(2)の要件である2等級以上の差が生じたかによって、随時改定の対象になるか否かが決定します。

②手当(新設)

手当を新設した場合、「処遇改善手当を毎月○○円支給する」と定めた場合、随時改定の要件である(1)の固定賃金の変動にあたります。
しかし、ここで疑問に思いたい点は、例えば処遇改善手当を新設し、この処遇改善手当は毎月〇〇~○○円の幅で支給金額が変動する、または○○日以上出勤をした対象社員に支給する、などに定めた場合、これは非固定賃金では?と思う方もいらっしゃると思います。
しかしながら、この随時改定の要件の(1)の固定賃金の変動は、「給与体系が変動した時」が含まれているのです。つまり、固定・非固定に関わらず手当が新たに導入されるということは、賃金体系の仕組みが変わったとされるため、(1)の要件に当たるとみなされます。

また、随時改定(2)の要件である、「変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額」と「これまでの標準報酬月額」との間に2等級以上の差が生じ、さらにその変動させた月以後、3か月連続で報酬支払基礎日数が17日以上を超えていた場合、随時改定の対象となってきます。

なので①と同様、(2)の要件である2等級以上の差が生じたかによって、随時改定の対象になるか否かが決定します。

 

③手当(既存の増額)

既存の手当に増額する形で、処遇改善加算を支給した場合、その手当が固定的な賃金であればもちろん随時改定の要件である(1)の固定賃金の変動にあたります。

また、随時改定(2)の要件である、「変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額」と、「これまでの標準報酬月額」との間に2等級以上の差が生じ、さらにその変動させた月以後、3か月連続で報酬支払基礎日数が17日以上を超えていた場合、随時改定の対象となってきます。

なので①と②と同様、(2)の要件である2等級以上の差が生じたかによって、随時改定の対象になるか否かが決定します。

 

④賞与

処遇改善加算を賞与に上乗せし、支給をした場合、随時改定の対象外となります。
なぜなら、固定賃金の変動とはみなされていないからです。

 

⑤一時金

処遇改善加算を一時金として支給した場合、これば名前の通り一時金であり、固定給の変動には当たらないため、随時改定の対象外となります。

 

まとめ

処遇改善加算を支給することにより随時改定の対象となるかならないかは、その処遇改善加算の支給方法、金額等で異なってきます。

支給をする際は、今一度随時改定の対象となるのか、しっかり確認をするようにしましょう。