医療機関の送迎車に介護タクシーを利用する場合のおすすめ運賃
最近、送迎車について特に医療機関からお問い合わせをいただきます。
患者様の送迎をしたい&介護タクシー事業も新しく始めたいという内容です。日常的にクリニックや病院を利用している患者様の負担を少しでも軽減させたいという想いが主なきっかけのように感じます。負担の軽減の中には身体的な部分はもちろん経済的な部分も含まれています。
毎日介護タクシーで通院する場合、当然運賃は安い方がいいですよね。
タクシー事業の運賃はある程度範囲が決まっています。原則、その範囲の中から認可を受けて料金設定をします。詳しくはこちらの『介護タクシーで開業!料金の設定方法と自動認可運賃運賃とは』をご覧ください。
自動認可運賃表とは不当な価格競争を起こさせないための規定です。極端に運賃を安くすることは出来ません。
ですが自動認可運賃とは別に介護タクシーの運賃はある条件を満たせば低く設定することが出来ます。
この記事を読むことで介護タクシーの運賃を低く設定する方法を知ることができます。
Contents
介護運賃
介護タクシーの運賃には3種類あり、特に指定がなければどの事業所もケア運賃に該当します。
ケア運賃は自動認可運賃表から選ぶことが一般的です。ケア運賃でも自動認可運賃の表より安くは出来ますが、認可されるためには時間がかかります。なぜその料金でなければならないのかしっかりした理由が求められます
今回ご紹介するのはケア運賃とは別の運賃になる介護運賃です。
介護運賃とは
介護運賃とは次のように定義されています。
簡単に言うとケアプランに基づいて訪問介護サービスを提供する場合のタクシー運賃です。
比較的自由に料金設定できる
介護運賃はケア運賃と違い自動認可運賃表から選ぶことを要求されません。
介護運賃の上限の規定はありますが、安くなる分には比較的自由に設定できます。
自治体により異なりますが
初乗り料金なし100mあたり10円、30分あたり10円という設定も可能です。
これは極端な例ですが、安くなる分には自由に設定できることは事実です。
介護運賃の適用条件
介護運賃は魅力的だと思っても全ての事業所で自由に認可が下りるわけではないです。
適用されるためには①~④の全ての条件を満たすことが必要です。条件を確認しましょう。
①、法人であること
個人事業主の介護タクシー事業者、クリニックは介護運賃は適用申請ができません。
株式会社、医療法人、一般社団法人など法人格は必須です。
②、訪問介護事業所として指定を受ける
介護運賃の定義で触れましたが
介護運賃とはケアプランに基づく介護輸送サービスを提供する際の運賃です。
事業所主体が介護報酬の請求対象となるサービスを提供できる事業所でなければいけません。
介護報酬が請求できるサービスの中でも訪問介護サービスとして認められるものに限ります。請求主体になるためには訪問介護事業所として指定を受ける必要があります。
詳しくはこちらの『介護で開業!訪問介護事業所としての指定の受け方』でご確認ください。
③、ケアプランに基づく介護サービスを伴う輸送であること
訪問介護事業所として指定を受ければ訪問介護サービスが提供出来ます。
しかし介護運賃が適用されるためにはケアマネージャーがこの要介護者には輸送が必要だと判断されなければいけません。
なぜならケアプランに基づく介護サービスを伴う輸送サービスに適用されるのが介護運賃だからです。
ケアマネージャーとは意思疎通を図っていく必要があります。
クリニックの送迎は?
細かい条件により変わりますが、送迎サービスは訪問介護サービスの1つである通院等乗降介助に該当することが多いようです。
つまり通院の行き帰りともにケアプラン上必要であると判断されれば介護運賃での輸送が可能です。
④、車両の第二種免許を取得していること
第二種免許とはプロドライバーになるための資格です。
輸送そのものから対価を得る事業には必ず必要です。必ずしも許可の申請事に第二種免許を取得している必要はありません。
詳しくはこちらの『介護タクシーで開業!第二種免許がないと申請は受理されない?』をご覧ください。
介護運賃適用のための大まかな条件は以上になります。
訪問介護サービスとして認められるサービス
訪問介護サービスをお手伝いさんだと勘違いしている方もいますがそんなことはありません。
あくまでも居宅で自立して生活するための介護サービスです。出来ないことを手助けして、出来るようにすることを目的としています。出来ることを代わりにやることは避けてください。
訪問介護サービスは身体介護と生活援助の2つに大きく分けられます。詳しくは別記事で言及します。
輸送が伴う訪問介護サービス
ケアプランに基づき、輸送が伴う介護サービスを提供する場合に介護運賃が適用されます。
輸送が伴う訪問介護サービスを確認しましょう。
■輸送が伴う訪問介護サービスの例■
・通院
・日常生活用品の買い物
・介護保険施設の見学
・家族へのお見舞(頻繁にはダメ)
・役所への書類の届出
・選挙の投票
原則、要介護者が居宅で日常生活を営む上で必要と認められる範囲に限ります。
つまりレジャー関連は全てケアプランに該当しないため介護運賃は適用されません。ケア運賃で提供することは可能です。
認められないもので意外なものが冠婚葬祭の出席です。ご注意下さい。
通院介助の注意点
訪問介護は介護に要した時間を算定して報酬を請求する制度です。
通院の介助をする場合、病院の待合に付き添いや診療が終えるまで待機することになると思いますが、この待機時間は介護サービスとして時間は認められません。
原則は院内は病院のスタッフに付き添い等をしてもらうことが求められています。
複数台の車両を使用したい
複数台の車両を使用して送迎サービスをしたい事業所もいると思います。
その場合は訪問介護員などが所有する車両を利用して送迎が出来る許可もあります。車両の所有者が事業所名義の車両でなくても介護運賃適用サービスを提供出来るということです。
その許可については『介護タクシーで開業!便利な自家用自動車有償運送事業許可とは』に書かれています。
まとめ
介護タクシーの運賃は全て利用者の自己負担です。
介護保険の対象外です。参考→『介護タクシーで開業!乗車代は介護保険料から全額請求出来る?』
もし歩行が困難な要介護者が継続的に通院するとなると大きな負担になりますよね。そういった場合の助け舟が介護運賃です。
最近ではクリニックが法人格を取得して安価で送迎サービスを使うのに利用されているようです。そのためには国から介護タクシーの営業許可が必要です。
送迎をしてあげたい気持ちから無許可で送迎をしている事業所が全くないとは思いません。ただし、万が一にも事故を起こしたらどうでしょうか。優しさでやったと言っても、言い訳としかみなされないのが許可制度です。
許可制度は任意保険の強制加入や第二種免許の取得、経営主体の人間性なども考慮対象として許可の判定を下します。介護タクシーの許可とは要介護者を保護するための制度です。送迎サービスを提供する場合は必ず許可を取得してください。