福祉車両を購入すれば60万円支給!?業務改善助成金のご活用をオススメ!

この記事の結論と要約
福祉車両を購入する際に利用出来る助成金についてまとめています。業務改善助成金は従業員を雇っており、最低賃金レベルで働いている方が最低でも1人は必要です。対象となれば最低でも60万円が支給されるので、介護タクシー事業者やぶら下がり許可を受けている介護事業者の方で福祉車両を新たに買い直したい方は是非お読みになってください。

このページをご覧になっている方は福祉車両の購入をお考えになっている方だと思います。できれば国から補助を受けたいですよね。

しかし実は福祉車両を購入する際の助成金はほとんどありません。

ただし、条件付きではありますが、福祉車両の購入費用が助成される助成金があります。

それが業務改善助成金です。

この助成金は既に福祉車両に関係する事業をされている事業者向けの助成金になります。よって新規開業や新たに介護タクシーを始める方は対象ではありません。ちなみに法人・個人事業主ともに対象です。

私のHPやyoutubeをご覧になっている事業者さんであれば、既にぶら下がり許可を受けている事業者や、いわゆる介護保険タクシーを活用している事業者が一番対象になるかと思います。

というのも、ぶら下がり許可は福祉車両でなくてもセダン型で許可が取れるため、福祉車両を導入しないでサービス提供している方もいるかと思います。ただ実際にぶら下がり許可、介護保険タクシーサービスを提供してみて、セダン型より福祉車両を使いたいと思う事業者も少なくないでしょう。

そういった事業者さんに個人的にオススメの助成金です。

しかし助成金の支給を受けるためには当然条件があります。

その条件やいくら助成金を貰えるのか、貰うための注意点につきまとめました。

ご確認下さい。

業務改善助成金とは?

条件を確認する前に業務改善助成金とは何なのか、その定義や助成金による狙いを確認しましょう。

厚生労働省のパンフレットには次のように記載されています。

業務改善助成金とは生産性向上に資する設備投資等(福祉車両)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。

つまり労働生産性が向上する設備を導入して、会社内で安い賃金で働く人の賃金を上げてね。ってことです。

これは労働生産性を向上する設備である福祉車両を購入する費用を一部助成する、その代わりにその会社の中で低い賃金で働く従業員の賃金を上げることが条件だよって意味です。

具体的に助成されるための条件、注意点をこの記事で解説します。

業務改善助成金の支給を受けるための条件

業務改善助成金の対象となるための対象者条件は次の2つです。

◆業務改善助成金の支給を受けるための2つの条件

1️⃣労働生産性を向上させる設備を導入すること

2️⃣3ヶ月以上雇用していて最低時給プラス50円以内で働く労働者がいること

それぞれ確認しましょう。

1️⃣労働生産性を向上させる設備を導入すること

生産性が上がるのであれば労務管理ソフトやパソコンなども対象です。

今回は福祉車両をテーマでお話しているので福祉車両以外は割愛しますね。

「労働生産性を向上する」という表現なので、導入前と導入後で効率がアップすることが条件ですよね。よって導入前という概念のない新規開業は対象外です。

事業者の方はこの福祉車両を導入すればどれほど時短になるのか、はたまた効率がアップするのか現状と比べて説明できるようにしましょう。

生産性が上がるってどんなことですか?

介護事業者の例で考えましょう。

介護事業者が送迎の際に今まで二人がかりで介助しないと載せられなかったのが、福祉車両を購入したら一人でも余裕で出来るようになりました!といったことです。

ぶら下がり許可で言えば、今までセダン型だったから車椅子を畳んで介助して後部座席に載せていたのを、福祉車両にしたらそのまま載せられるとかが該当します。

助成金を受給するにあたり、現状、労働生産性に関しては具体的に何%以上向上させるといった条件はありません。

 2️⃣3ヶ月以上雇用していて最低時給プラス50円以内で働く労働者がいること

現在、国は賃上を大きな施策として位置づけています。

また労働生産性が低い故に国民1人あたりのGDPが下がっていることも問題視しています。

そこで低い賃金で働いている労働者がいる事業者に賃上げを促すために助成金を活用するといったことが業務改善助成金の狙いです。

そしてその具体的な低い賃金の労働者の基準が次の通りです。

 

•自社で3ヶ月以上雇用する従業員がいて、その労働者が最低時給プラス50円以内

 

つまり、最低時給プラス50円以内で働いている労働者がいない事業者はこの助成金の対象になりません。またその労働者が計画申請時点で3ヶ月以上働いていることも必要です。

ただし注意点としては、その低い賃金で働く労働者の賃金を上げるだけでは足りません。

どういうことかというと、その会社独自の最低賃金を今後永続的に今回の助成金で引き上げた金額に維持することが条件です。

会社内の最低賃金のことを事業場内賃金といいます。

業務改善助成金を受給したら、今後雇う労働者も含めて国が定める最低賃金で雇ってはダメです。

会社内の事業内最低賃金を最低基準として適用させる、ということになります。

(例:東京都の最低賃金は令和5年10月時点で1113円だが、業務改善助成金の受給を受けたら1,150円を事業内最低賃金にする。)

この事業内最低賃金は就業規則などに定めないといけません

就業規則に書くということは会社と従業員との約束になり、雇用契約書より効果が強い約束になります。つまり、一度上げると記載すれば簡単に下げることは出来ません

以上が条件です。

業務改善助成金で貰える助成金額

業務改善助成金は具体的にいくら貰えるのでしょうか。

それは3ヶ月以上雇用していて最低時給プラス50円以内で働く労働者が現在何人いるか、そして事業場内最低賃金をいくら上げるのかで決まります

◆業務改善助成金の支給額の決まり方

1️⃣3ヶ月以上雇用していて最低時給プラス50円以内で働く労働者が現在何人いるか

2️⃣事業場内最低賃金をいくら上げるのか

これは表でまとめられています。

一番上の列を御覧ください。

例えば従業員が30人未満の事業者が事業内賃金を30円上げる&対象従業員が1人いるのであれば原則60万円が助成されます。

もし対象者が2人か3人いるなら90万円といった関係性ですね。

事業内最低賃金を30円じゃなくて45円昇給させる!となると従業員が1人であれば80万円が助成され、2人か3人いるなら110万円といった関係性になります。

全額貰えるわけではない

この表を見ると、対象従業員が1人いて、事業内最低賃金を30円を引き上げたら60万円の助成金が貰えるように思うのではないでしょうか。

しかしそうではありません。

この助成金は実際にかかった費用を部分的に助成するもの&上記表に記載されている額は上限額です。

助成の割合は、申請する都道府県の最低賃金がいくらかによって決まります。

東京都や首都圏の事業者であれば、実際にかかった購入費用の4分の3が支給されます。

(例:3ヶ月以上雇用していて最低時給プラス50円以内で働く労働者が2人いて、その2人の労働者の賃金を30円上げた。100万円の福祉車両を購入した。

助成金の上限額は90万円だが、100万円の75%である75万円までが助成額の上限値のため助成金額は75万円になる)

申請スケジュール

業務改善助成金を申請するにあたっての申請スケジュールをまとめます。

特に注意点としては福祉車両を購入するタイミングです。購入するタイミングを間違えると助成金はもらえません

助成金の大まかな流れは次の4つで表すことが出来ます。

◆業務改善助成金の申請スケジュール

1️⃣計画申請

2️⃣交付決定

3️⃣事業完了&支給申請

4️⃣状況報告

 

この4つの流れの中で福祉車両を購入するタイミングは明確に定められています

そのタイミング通りに購入しないと助成金は貰えません。

ここ超重要ですよ。

では具体的にはいつ購入すればいいのでしょうか。

それは②の交付決定と③の支給申請の間です。

申請スケジュール内の用語説明

それぞれの概念を説明します。

①計画申請・・・助成金を受給したいという意思表示です。具体的にこんな賃金で働く労働者がいて、生産性を向上するためにこんな設備が必要なんですといったことを書面で提出します。

②交付決定・・・①の計画申請に対する労働局からのアンサーです。①で提出した計画なら業務改善助成金の対象です!といったことを決定したという意味です。言葉がややこしいですが、あくまでも計画が認められたに過ぎないという冷静な感覚でいて下さい。

③事業完了&支給申請・・・①②の計画通りに実行したので、助成金を申請します、という意味合いですね。

なので福祉車両を購入するタイミングが②の交付決定と③の支給申請の間になるということです。

計画通りに実行したことを事業完了といいます。

この事業完了から1ヶ月以内に支給申請書を提出しないといけません

また事業完了日の期限は、令和5年度に関しては令和6年2月末日です。

助成金は国が認めた計画通りに実行することで支払われるということ、ここもとても重要な概念なので忘れないでください。

計画申請前の気分が高まってるときに買っちゃうと対象外になるので注意して下さい。

また、同じ理屈で事業内最低賃金を上げる期間もこの②と③の期間のうちにやらないと助成金の対象外ですね。

④状況報告・・・不交付要件に該当していないのことの確認です。
業務改善助成金の交付を受けてから、原則半年間は労働者を解雇してはいけません。

また、賃金が上がったから労働時間を減らすことも不交付になる事由です。

助成金を貰ってからもご注意ください。

【その他注意点】

事業完了は2月末日と書きました。

福祉車両を導入する場合、この時までに車両が手元にないといけません。車検証の所有者の名前と登録日も2月末日までであることが確認されます。

そう考えると、新車で購入することは期間が短い場合は難しいかもしれません。

また福祉車両を中古で購入する場合にも、交付決定前の段階で売り切れてしまうこともあります。

その場合は事業計画変更申請書を提出して下さい。

売り切れちゃったので別の車両にしましたという事後報告は助成金の対象外となります。

先ほど記載した通り、国は計画通りに実行したものに助成金を支払います。軽微な変更でも必ず逐一届出しないといけない感覚を持ちましょう。

あとは福祉車両=8ナンバーと考えたほうが今回は無難です。

審査機関である労働局は車両は管轄ではないので、改造車の細かい違いをどこまで考慮してくれるかは疑問です。

最後に代金の支払い方です。助成金は来年の2月までに支払った実際にかかった費用に対して助成するものなので、一括でキャッシュで払うのとローンで購入するのだと助成額は変わってきます。

ローンだと既に支払った金額の4分の3になるのでご注意下さい。

まとめ

福祉車両が助成対象になる業務改善助成金について説明しました。

あくまでも既存事業者向けの助成金なので新規開業者は対象になりません。また労働生産性を上げる必要があるので、今までセダン型を使ってぶら下がり許可(介護保険タクシー)で通院介助していたり、重度な障害を持つ利用者を車椅子でなくストレッチャーで搬送する方が効率が上がるといったことも大切です。

業務改善助成金は動画でも説明しました。
結構フランクに話しておりますので、良ければ併せてご視聴ください。

ありがとうございました。