介護タクシーでよく聞くぶら下がり許可とは何?
ぶら下がり許可を取得するにあたっての概要、要件、注意点をまとめています。ぶら下がり許可は事業の拡大には便利で魅力的ですが、個人事業主はぶら下がり許可を取得出来ません。法人格で訪問介護事業の指定を受けることが要件だからです。
ぶらさがり許可という言葉を聞いたことがありませんでしょうか。
介護タクシーの営業許可を受ければ取得出来るもので、雇用している訪問介護員の自家用車を使用して送迎が出来ます。
つまり法人名義で車両を購入しなくても複数台での輸送を可能にするので、利用者が増えて輸送が難しくなってきた事業所にはメリットがあると言われています。
ここまで読んで、ぶらさがり許可が欲しい!と思った事業所もいるでしょう。
しかし誰しもが許可を取れるわけではありません。許可要件を満たす必要があります。
このページを読むことでぶらさがり許可の概要と要件を知ることが出来ます。
また動画でもぶら下がり許可につき説明しております。ご関心ある方は『動画でぶら下がり許可につき説明致しました|介護タクシー開業』でご確認ください。
また動画でぶら下がり許可の条件についてまとめた動画もございます。
10分程度で説明しておりますので御覧ください。
Contents
正式名称、自家用有償旅客運送事業許可の概要
ぶらさがり許可とは通称です。
正式名称は自家用車有償旅客運送といいます。
タクシーのナンバープレートは緑ですよね。緑の意味することは、国から事業用車両として許可を受けているということです。運送に対する報酬を得てもいいという許可ですね。
言い換えるとナンバープレートが緑ではない車両が人を輸送してお金をもらうことは原則違法にあたります。通称白タク行為です。この白はナンバープレートの色を指し、自家用を意味します。
しかしぶらさがり許可を取ると自家用車を使って運送の報酬を得ることが認められます。
例えば介護事業所が送迎サービスの一貫として通院等の送迎をすることは、原則はダメです。介護事業の指定を受ければ当然に送迎出来るものではありません。
運送事業としての許可が別途必要です。
またこの許可は訪問介護員等が二種免許(タクシーの運転手の免許)を持つことなく輸送が可能になります。事業の拡大にはもってこいの許可ということです。
ただし一種免許だけでは足りません。講習の受講が必要です。
その講習というのが国土交通大臣が認定する機関で行う福祉有償運送講習です。
この講習は弊所でも受講(座学はオンライン、実技は弊所)が可能です。(団体の場合、出張も可能)
もし受講を考えている方は次の内容をご確認ください。
メリットを一旦まとめます。
・訪問介護員等が運転する場合、第一種免許で輸送ができる
・新たに事業用の車を買う必要がない
・白ナンバーのままでタクシー行為が出来る
自家用有償旅客運送事業許可を取得する要件
自家用有償旅客運送事業許可を取得するためには要件を満たさなくてはいけません。
許可を取得するための要件は次の通りです。
一つずつ確認しましょう。
介護タクシーの許可を既に取得している
ぶらさがり許可という名前の通り、何かに付随した許可です。
この何かが介護タクシーの許可です。ぶらさがり許可の申請時には介護タクシーの許可証の写しが必要です。
ちなみに介護タクシー以外の許可でも認められているものがあります。特定旅客自動車運送事業許可です。
特定旅客自動車運送事業の方が介護タクシーの許可より取得しやすい側面があります。(特にお金の面)
ご関心のある方は下記からご覧ください。
訪問介護事業所として指定を受けている
このぶらさがり許可は訪問介護サービスを簡易的に拡大するための許可です。
なので訪問介護事業所として指定を受けなければ取得出来ません。
訪問介護事業所として指定を受けるためには法人格が必要です。つまり個人事業主はぶらさがり許可とは原則関係ありません。
訪問介護事業所として指定を受けるためには介護で開業!訪問介護事業所としての指定の受け方にてご確認ください。
許可要件は以上です。
注意点
制度を利用するにあたり、何点か注意点があります。
以下、まとめます。
一つずつ確認しましょう。
ケアプランの輸送のみ適用される
ぶらさがり許可の輸送目的は厳格に定められています。
原則、ケアプランで必要と認められた利用目的に限定されます。代表的なものだと、通院、日常の買い物、市役所で公的書類発行など日常生活において必要不可欠なことです。
旅行や冠婚葬祭は認められていません。その場合は、緑ナンバーの介護タクシーを使用します。
5台以上登録する場合、国家資格者の配置義務が生じる
ぶらさがり許可で登録する車両が4台以上になると運行管理者や整備管理者などの国家資格者の配置義務が生じます。
アウトソーシングは認められず自社で雇用しなくてはいけません。
該当者がいなければとりあえずは4台までにしましょう。であれば国家資格者がいなくても許可が取れるからです。
乗客定員が11名未満の車両のみ使える
ほとんどないケースですが、訪問介護員等が所有する車両が乗客定員が11名以上だった場合、その車両はぶら下がり許可で増やすことは出来ません。
通院等乗降介助の申請
通院等乗降介助とは訪問介護サービスの一つです。
通院時に車両の乗降りの際に介助が必要な方向けのサービスで、ケアプランに沿って要介護者にサービスを提供します。
ぶらさがり許可はこの介護サービスの提供が前提となりますので、通院等乗降介助の協議申請を提出する義務があります。
ただし地域によりますので、最寄りの管轄役所にてご相談下さい。
以上が注意点です。
まとめ
・ぶらさがり許可を取るためには介護タクシーの許可が必要
・輸送目的はケアプランで認めらているもののみ適用
・4台以上登録する場合、国家資格者を自社雇用する必要性が生じる
ぶら下がり許可は事業の拡大には非常に便利な許可ですが、輸送目的は限定的です。
ケアプランが適用される利用者数が多く見込める、訪問介護事業所は許可の取得を検討しても良いでしょう。
個人事業主は関係がない許可です。将来的に取得したい場合はまずは訪問介護事業所として指定を受けましょう。ちなみに許可は個人から法人に引き継げます。
興味のある方は介護タクシーは個人事業主と法人のどっちがメリットある?をご覧ください。