処遇改善加算を手当や一時金で支払う際、就業規則に乗せなければならないの?
介護職員処遇改善加算の算定方法及び取り扱いにつき解説しています。もし自社で計算することが難しい場合には介護保険法に詳しい社労士に相談することをオススします。理由はこちらの『介護保険法に詳しい社会保険労務士と顧問契約を締結するメリット』 にてご確認ください。
処遇改善は度々法改正があり、基本給に反映するものや、一時期で支払っていいものなど運用が異なります。
そういった介護保険法上の上乗せの給付は労働基準法で定められている就業規則などに記載する必要はあるのでしょうか。じつは明確な根拠はありません。
ただしはっきりしていることは処遇改善加算が算定されているから賃金に上乗せで支払っているということです。これらを明確化させた上で就業規則に記載しましょう。
詳しくは記事内にてご確認ください。
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処遇改善加算を手当や一時金で支払う際、就業規則に乗せなければならないの?
処遇改善加算とは、「介護施設や事業所が、職員のキャリアアップの仕組みを作成したり、職場環境の改善を図ることで、報酬として介護職に携わる職員の給与をUPするためのお金を国が支給する」制度です。
処遇改善加算の支給の方法は、処遇改善加算手当として追加で支払うこと、一時金として支払うことなどが挙げられますが、それぞれの事務所に委ねられています。
事業所で、処遇改善加算を手当や一時金として支払うことを決めた場合には、就業規則に乗せなければならないという意見が多いです。
なぜなら、労働基準法第89条により、就業規則に記載しなければならない事項として、「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」が定められているからです。この「賃金」という部分には、役職手当などの各手当が該当し、処遇改善加算手当ももちろん含まれます。
ただし、労働基準法では具体的な金額を記載することは求めてはいません。もちろん具体的に金額を記載することは問題ないです。
あくまで、就業規則(賃金規程)に記載しなければならないのは、賃金の「決定方法」ということを覚えておきましょう。
手当を就業規則に載せなくていい場合はあるの?
一方で、10人以下の事務所はそもそも就業規則を作成義務はありません。
この場合、処遇改善加算を手当として支給するためには、必ず労働条件通知書に支払い方法を掲載するようにしましょう。
もちろん、作成義務がないだけで、新たに就業規則を作成することも問題ございません。
また、支給の方法が変わった際には、合わせて就業規則や労働条件通知書を必ず変更しましょう。もちろん、10人以上の事務所で就業規則を変更した場合は、労働基準監督署へ提出の必要があるため気をつけてください。
就業規則への記載の例文
下記では、就業規則への記載の例文を載せていきます。
処遇改善加算手当として支払う場合
第〇〇条 処遇改善加算手当
1 訪問介護職員を含む介護職員については、介護報酬にあわせて交付される介護職員処遇改善加算 ( 以下「 処遇改善加算 」という 。)
を処遇改善加算手当として支給する。
2 支給は、処遇改善加算を受領した翌月の給与支払日に支給をする。
3 支給対象者は、正社員として雇用をしている訪問介護職員を含む介護職員とする。
4 処遇改善加算手当は、個人の勤務実績等により、支給金額を決定する。
5 処遇改善加算手当は、処遇改善加算制度が廃止された場合又は受け取れない場合には支給しない。
一時金として支払う場合
【 例1 】
第〇〇条 処遇改善加算一時金
1 介護職員処遇改善加算による介護報酬が支給された場合、前項の賞与とは別に、処遇改善一時金を支給することがある。
2 処遇改善一時金の対象者は、介護職に従事する従業員(パートも含む)とし、支給額には、当該加算に係る計画を勘案してその都度決定する。
【 例2 】
第〇〇条 処遇改善加算一時金
1 支給日に在籍し支給日に1年以上の勤務実績があり、今後も継続して勤務する、次の職員へは、前項賞与とは別に、処遇改善加算一時金を支給する。
① 正社員のみ介護職員(訪問介護員を含む)
② 賃金改善実施期間内の出勤率が8割以上の職員。
2 支給時期は、夏季賞与及び冬季賞与の支給時とする。
3 支給額は、次の通りとする。
① 夏季賞与及び冬季賞与時に対象者に対し、勤務時間、勤務期間等に応じて支給する。
② 3月に確定した年間の「処遇改善加算額」から加算対象となる職員の基本給昇給分、 資格手当、処遇改善手当、夏季・冬季の処遇改善一時金の合計及び法定福利費増加分を除いた額を総予算として、加算対象となる福祉・介護職員の所定労働時間に応じて支給する。
4 処遇改善加算一時金は、当該加算が廃止または受給できない場合は実施しない。
まとめ
例文のような形で就業規則へ手当について記載をし、職員の方々へ周知するようにしましょう。
また10人以上の事業所で就業規則を変更した場合、労働基準監督署への届出が必要となります。
忘れずに対応を行うようにしてください。