デイサービスで開業!お泊りデイサービスを始める際の注意点
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2015年の4月30日に『お泊りデイサービスを提供する際のガイドライン』が厚生労働省から発表されました。
今までは東京都であれば東京都の基準のように自治体によって独自のお泊りデイサービスの基準がありました。しかしこれからは国のガイドラインに従って自治体はお泊りデイサービスの届出を受理します。
今後デイサービスの開業をする事業所で、お泊りサービスも提供したいと考えている人もいるでしょう。
であればデイサービスの指定を受ける時点で、お泊りデイサービスの要件を満たせる施設を選びましょう。
デイサービスの開業を考えている人は合わせて『デイサービスで開業!開設する地域を決める時の4つの重要ポイント』と『デイサービスを開業したいあなたが持っておいた方がいい資格』もご覧ください。
この記事を読むことでお泊りデイサービスを始める際に必要な基準を知ることが出来ます。
Contents
お泊りデイサービスの要件
お泊りデイサービスの届出要件は主に人員基準と設備基準に分けられます。
1つずつ確認しましょう。
人員基準
1.宿泊時間帯を通して、夜勤の介護職員又は看護師を常時1名以上設置することとする。
2.介護職員においては介護福祉士か実務者研修又は介護職員初任者研修修了者の設置が望ましい
3.食事を提供するときは、食事介助の必要な員数を確保する
4.緊急時に対応するための提供時間帯を通じた連絡体制の整備を行うこと
3の食事介助のサービスを考えている人は『デイサービスで調理をする場合に知らないと損をすること』をご覧ください。
設備基準
利用定員
お泊りデイサービスの利用定員はデイサービスの定員の半分以下かつ9名以下とする
設備基準
1、宿泊室の定員は1名あたり1室とする。処遇上必要がある場合2名でも可能
2、宿泊室の床面積は1室あたり7.43平方メートル以上とする
3、1と2を満たす宿泊室以外の宿泊室を設ける場合、個室以外の宿泊室は1室あたり4名以下とする。
4、個室以外の宿泊室の面積を合計した面積は7.43平方メートルに宿泊サービスの利用定員から個室の定員数を減じた数を乗じて得た面積以上とするものとし、プライバシーの確保を保つものとする。
大部屋の場合は最大でも4人まで。1人あたり7.43平方メートルの面積をプライバシーを確保したうえで提供しなくてはいけないということですね。
利用者同士の目線の遮断を確保出来れば建物の仕切りでないパーテンション等でも可能。ただしカーテンは不可。
5.男女別々の部屋にすること
お泊りデイサービスを提供する場合
利用目的
1.利用者の心身状況により、もしくは利用者の家族の疾病、冠婚葬祭、出張などの理由によりまたは家族の精神的な負担の軽減を図るために、一時的に居宅において日常生活を営むことに支障がある者を対象とする。
2.1の趣旨にかんがみて緊急時又は短期的な利用に限って宿泊サービスを提供すること。
ここが今回のポイントです。
お泊りデイサービスの問題点は、長期間連続して利用をする人が頻出したことです。今回のガイドラインで明確に記されました。長期的な利用(目安、4日以上)が絶対に無理という訳ではありません。
しかし、お泊りデイサービスは実費なので高額になりますしデイサービスの目的と一致しません。ケアマネージャーと相談してより良い介護サービスの代替案を探すことになるでしょう。
開始届
国のガイドラインに従い指定通所介護事業所における宿泊サービスの実地に関する届出書を作成して届出なければなりません。お泊りデイサービスを提供する前にです。人員や設備に変更があった場合も随時届出ます。
スプリンクラーの設置の義務付け
今までお泊りデイサービスをしていた事業所も今後も続ける場合、スプリンクラー設備の設置を義務付けられます。
ここでもめるのは建物のオーナーです。デイサービスとしての利用は可能でも、スプリンクラーはダメという人はいます。必ずオーナーに捺印署名してもらい使用承諾書にスプリンクラー設備を設置することの許可取得済も明記してください。何かが起きてからじゃ遅いです。
契約書通りに使わずに問題をおこしたら責任は免れません。
またスプリンクラーといっても何でもいいわけではありません。管轄する消防署に図面を持っていきましょう。このスプリンクラーなら設置していいか、消防計画としては十分か確認してください。
ちなみに今までお泊りデイサービスを提供していた既存の事業所でスプリンクラーが設置出来ない場合、3年以内にお泊りデイサービスの提供が出来なくなります。サテライト型デイサービスといい、また別に新たに場所を借りてそこで提供するということになります。
もちろんその施設にスプリンクラーがあることが前提です。
まとめ
お泊りデイサービスは自費サービスであって介護保険サービスではありません。よって利用者の実費負担です。
国が自費サービスであるお泊りデイサービスのガイドラインを作成したとのは問題が多かったからでしょう。今までもお泊りデイサービスというものはありました。
しかし国が明確な基準を提示していなかったためにデイサービス間でお泊りサービスの差が大きく生じるようになりました。基準がないので自由にやった結果ですね。
良いお泊りデイサービスもあるし、最悪なお泊りデイサービスもあったということです。私が懇意にしているケアマネージャーさんはお泊りデイサービスのことを良い風には思っていません。逆に老々介護をしながら働いている知人にとっては、夜勤で働いていたのでお泊りデイサービスは本当に助かったとも言っています。
世の中のお泊りデイサービスが良い悪いとは一概に言えませんが、利用者を存外に扱っている事業者が一定数あったことは事実でした。そこで国がお泊りデイサービスの最低限の質を担保するためにガイドラインを作成する運びとなりました。
ちなみに私はお泊りデイサービスは今の日本に必要なものだと考えています。
お泊りデイサービスの利用者の多くは老老介護や常時介護を必要とする人などです。であれば、宿泊が必要な際は気心が知れて体調等を把握している人がいる場所を優先的に利用したいのは当然ですよね。
しかしデイサービスは居宅サービスです。つまり自宅で自立して日常生活を過ごせるようにすることが主な目的です。なのでデイサービスに長期滞在することは国は認められないのです。
介護制度は現場との認識のずれがまだまだある制度です。その分、時代に合わせて変化していく制度なので今後お泊りデイサービスが介護報酬を請求出来るものになることも否定しきれません。
くれぐれもルールを守り安全基準を満たしたうえでお泊りデイサービスを提供してください。
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