介護タクシーの開業自己資金。計算方法と許可申請書の書き方
介護タクシーの開業要件の一つである自己資金要件についての計算方法をまとめています。申請書の作り方や契約書に必要な文言なども確認できます。最後の方に申請書の実例も載せています。ご確認ください。
介護タクシーでこれから独立したい。
開業資金のことが気になっている。
要件がよくわからない。申請書の書き方がわからない。
そんな悩みを持って、このページをご覧になっていませんか。
許可を取得するためには自己資金という要件を満たさなくてはいけません。
簡単に言うと国が求める最低限の資金がないと介護タクシーの営業許可は与えないということです。
具体的な金額で許可が下りる下りないと決まるのでしょうか?
そうではありません。開業自己資金は事業所ごとに異なります。車を新車で買う人と既に持っている人とでは必要な開業資金は違いますよね。
共通していることは開業資金の計算方法です。
共通する計算方法で算出した金額があなたの満たすべき自己資金額になります。その金額を銀行の残高額で証明できれば資金の要件はクリアーできます。
ページ下部には自己資金の具体例と申請書の見本も載せています。
このページを読むことで、介護タクシーの自己資金の計算方法を知ることができます。
Contents
自己資金の算定項目
手引きには次のように記されています。
事業を開始するのに必要である物を購入する見積額(所要金額)が適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。
(介護タクシーの開業手引きより)
これでは抽象的ですよね。具体的な計算法があります。
計算する項目は次の7つです。
①車両費
②土地費
③建物費
④機械器具及び什器備品
⑤運転資金
⑥保険料及び租税公課など
⑦その他の創業費用
算定項目を細かくみてみましょう。
①車両費
車両本体の費用になります。
車両の購入パターンは次の4つです。
既にお持ちの車を事業に使う場合は0円で計算します。ローンの支払いが残っていても0円で結構です。
購入する場合の注意点ですが、申請書を提出する時点で購入しておく必要はないことです。買うのであれば許可証が交付された後に購入してください。
実務では車両の見積書を申請書に添付します。
リースも同様に見積書で構いません。許可後に契約して下さい。
まとめます。
・自己所有なら0円
・購入する場合は購入金額、ローンなら月々の支払額
・リースなら一年分の契約料
②土地費
駐車場代です。
賃貸しているのであれば1年分の賃料を記入します。自己所有の場合は0円です。自己所有であればローンの残額は関係ありません。
賃貸の場合の注意点は次の2点が契約書から読み取れることが必要です。
・3年以上の使用権限
・介護タクシーの事業用に使用する旨
3年以後の契約は自動更新とする文言も確認できればさらに良いでしょう。
③建物費
営業所、休憩施設に必要な経費です。
賃貸なら1年分の賃借料、自己所有なら0円です。
土地費とルールは同じです。
なお介護タクシーの営業所は自宅やマンションの一室として登録できます。
賃貸であれば契約書から次の2点の確認が必要です。
・3年以上の使用権限
・介護タクシーの事業用に使用する旨
④機械器具及び什器備品
料金メーターのことを指します。
距離制の運賃を利用する場合、料金メーターの設置が義務付けられます。
11万〜15万円ほどで設置できます。これも見積書で大丈夫です。
⑤運転資金
人件費、燃料費、修繕費のそれぞれ2ヶ月分のコストを記入します。
細かに書く必要はありません。概算を書きましょう。
⑥保険料及び租税公課など
保険料は自賠責保険と任意保険にかかる費用ことです。
介護タクシー事業の許可を取得するためには任意保険の加入義務も生じます。1年分の保険料を記入します。事業用車両で見積書を作成してもらいましょう。
だいたい10〜20万円です。
租税公課というのは税金のことです。自動車税や重量税等があげられます。
親切な販売店は車の見積書に租税公課の内訳を書いてくれます。書いてなければ管轄の運輸局に車検証をFAXすれば、教えてもらえます。
⑦その他
営業所に必要な物の購入資金です。
目安としては次のものが必要です。
・電話
・パソコン
・机、椅子2つ
・布団
既にお持ちであればそれで構いません。
もしあなたが民間救急事業も一緒に始めたいのであれば、揃えるべき備品が別途あります。詳しくは『介護タクシーで開業!患者等搬送事業者の認定基準』でご確認ください。
以上が算定項目です。
自己資金要件は2つで構成されている
算定項目はわかりました。
次は自己資金要件の計算方法です。手引きには次のように書かれています。
所要金額の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていること
自己資金要件は次の2つで構成されています。
それぞれの資金を独立して計算をして、算出された数字以上の金額が残高証明書に記載があれば要件クリアーです。
それぞれの計算方法を確認しましょう。
所要資金
所用資金とは事業に必要な1年間のコストです。
一年にかかるコストを計算して、このコストの半分(50%)は申請日時点に持っておいて下さいということです。
つまり7つの項目の1年間の合計金額の半分以上の額があることを残高証明で証明しなくてはいけません。
事業開始資金
事業開始当初資金とは事業のスタート時の2ヶ月間のコストを指します。
算定する項目は所要資金と同じです。しかし賃貸借やローンなどの月々支払う金額がある場合、2か月分のみ計算します。他は所用資金と同じ計算方法です。
許可が下りてから2か月はお客さんが一人もいなくても、経済的な基盤があるのかを確認する意味合いです。それが事業開始資金です。
他は全て1年分と同じです。
自己資金の要件のまとめ
介護タクシーの自己資金の要件は次の通りです。
所要金額の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていること
になります。申請日以降確保されることはとりあえず除きましょう。
申請書を提出する時点で所要金額の50%以上かつ事業開始資金の100%以上の金額を保有していることを残高証明で証明する。
これが介護タクシーの自己資金の要件になります。
人によって自己資金の要件が大きく異なることは分かっていただけたのはないでしょうか。
車を購入する時の注意点
車を購入する際の注意点です。
ディーラーや販売店の人に伝えることとして
見積額は多めに見積もる分にはいいけど、低く見積もるのは絶対ダメって言いましょう。
多めに見積もる分はいいですが、低く見積もり実際は高かった場合は虚偽申請に該当する恐れがあります。自己資金要件が満たせないのに満たしていると申請したとみなされていまいます。
ベストは見積額と購入額が同額であることですが、特にご注意下さい。
実例
文章でいくら書いてもわかりづらいですよね。
私のお客様で許可を取得した事業所の申請書をベースに作り替えたものを載せます。
この事業者は車両を一括購入したので割高となっています。
最近では中古車では福祉車両は120万円ほどで購入できます。ローンで購入すれば残高証明が150万円もあれば充分開業できます。
まとめ
いかがでしたでしょか。
自己資金要件は2つの計算方法で構成されています。一年間にかかるコストの半分、スタートの2か月にかかる全額を残高証明できれば大丈夫です。
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介護タクシーは将来的にも需要がある仕事なので融資は比較的審査に通りやすい印象があります。
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